2024年7月16日(火)

Wedge REPORT

2010年7月20日

 しかし、今後高齢化率がさらに上昇していくと国民負担率はどうなるのだろうか。それが、このグラフの2本の青色の矢印に囲まれた部分である。2020年過ぎの日本の高齢化率は約30%と想定されているから、当然、国民負担率も上昇するだろう。この2本の矢印は、国際的に見て割安なまま上昇する場合(下の矢印)と、先進他国のトレンド水準まで負担が上昇する場合(上の矢印)とを大胆に示してみたものである。

国民負担の上昇は不可避

 極めて大雑把な推計であることはご容赦願いたいが、それでもこのグラフからは、今後10年あまりすると、日本の国民負担率がOECD諸国の中でも中位以上の水準に上がらないと現行の社会保障制度すら維持できなくなる可能性が大まかに見て取れよう。しかも、求められる社会保障の給付総額は、その後の高齢化率の一層の上昇とともに、さらに上がっていく。言い換えると、このまま少子高齢化が進むと早晩、年金支出の拡大や医療・介護サービス需要の増大に国民負担が追いつかなくなる可能性が高まり、しかもそれは決して遠い将来のことではないということである。

 ちなみに、図Bの矢印で示された日本の国民負担率の上昇を、仮に全て消費税の引き上げで賄うとすれば、低位の上昇(下の矢印)でも消費税の引き上げ幅は23%程度、すなわち現状の5%に加えると28%程度となってしまう。しかも、それで終わりではない。その後の人口減の加速と高齢化率の一段の上昇を踏まえると、40%の高齢化率が想定される2050年には、単純計算すれば消費税率は50%程度になる。

 もちろん、国民負担率上昇には企業や個人の社会保険料負担の増加なども含まれ、全てが消費税引き上げで調整されることにはならない。しかし、財政赤字での補填を減らしつつ、社会保障水準を向上させようとすれば、消費税率は5%や10%ではとても済まないことだけは確かだ。

 一方、日本の財政制約も極めて厳しい。国債など国の借金は今年3月末で882兆円ある。また、地方債も含めた公債残高のGDP比は180%に達しており、先進国では群を抜いて最悪の水準にある。現状では、国内にある豊富な資金が巨額の公的債務を賄っており、予算が策定できないといった事態には陥っていない。

図C:国債残高は十数年で家計金融資産を上回る勢い
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 しかし、予断は許されない。このまま財政赤字が拡大していけば、10年あまりすると国内の家計金融資産を国債残高が超えてしまうとの試算が可能なのである(図C)。このことは、早急な財政再建が不可欠なことを示しているが、同時に、一般会計歳出の中で年1兆円超ずつ増加している社会保障関係費の抑制策も検討していかなければ、いずれ立ち行かなくなることを示している。
 

私的扶助の
拡大が必要

 以上のことからわかるのは、今後の少子高齢化の進展と厳しい財政制約を考慮すれば、テクニカルな制度設計を繰り返したとしても、国が現行の社会保障制度で国民にしかるべき給付額を保障するのは困難になりかねないということである。これは、政府が足元示した年金制度改革についても同じである。踏み込んで言えば、いずれどこかの段階で、年金制度や介護・医療保険制度など社会保障制度のあり方自体に大鉈を振るわなければならなくなるだろう。


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