WEDGE REPORT

2019年5月31日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

中国の脅威はなくなったのか?

 第3の「?」は中国問題だ。

 両首脳の共同記者会見中、「中国」の名前は何度も登場した。いずれも米国との貿易摩擦に関してだった。

 トランプ大統領は首脳会談の冒頭、安全保障、北朝鮮、貿易問題が議題になると説明した。安全保障を議論するなら、なぜ南シナ海での中国の暗躍、尖閣問題が討議されなかったのか。話題にはのぼったのだろうが、両首脳の記者会見での発言では全く触れられなかった。
 
 2014(平成26)年、トランプ氏の前任者、オバマ大統領が来日した際には、中国公船の活動を念頭に大統領は、尖閣に日米安保条約第5条が適用されることを明言。〝尖閣有事〟の際に米軍が防衛義務を負うことを明らかにした。中国牽制の意味合いが込められており、日本側にはこのうえない大きな援軍となった。

 尖閣周辺での領海侵犯を中国が中止したとは聞いていない。南シナ海での活動もが抑制された事実もない。人権問題での改善もみられない。にもかかわらず、中国問題に時間が費やされることはなかったのは不可解というほかはない。

 今年4月(ワシントン)、昨年4月(米フロリダ州)、同6月(ワシントン)の過去3回にわたる首脳会談をチェックしてみたが、やはり中国問題での目立った結果はない。

 理由は判然としないが、中国問題はもはや日米首脳会談での主要なテーマからはずれてしまったようだ。習近平主席のほくそ笑む表情が目に浮かぶ。

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