護衛艦派遣か資金拠出か
こうした中、トランプ大統領は海軍の強襲揚陸艦「ボクサー」が18日、ホルムズ海峡でイランの武装無人機を撃墜したと公表、米国が自国民を防衛する権利を行使したと強調するとともに、「自国の船舶は自ら守るよう」あらためて呼び掛け、米主導の有志連合に参加するよう各国に求めた。
イラン側が米無人機を撃墜した先月の事件では、大統領は直前になって撤回したものの、いったんは報復攻撃を命令した。しかし、今回は激しい非難を避けた。大統領はこのところ、イランの聖職者支配体制を転覆させるような考えがないと述べるなど融和的な姿勢を示し、イランとトランプ政権の間を調停すると提案したランド・ポール共和党上院議員の仲介工作に期待する考えも見せている。
だが、米国のイランを締め付ける国際包囲網構築の動きは加速している。防衛の公平分担という大統領の持論に基づくペルシャ湾の有志連合構想について、トランプ政権は19日、同盟国ら約60カ国への説明会を開催した。具体的には護衛艦の派遣や、それができない場合、資金拠出などを検討するよう要請した。25日に2回目の会合を開く予定。
米政府は今回、イランとの対決色ではなく、あくまでも船舶の「航行の自由」を確保することを前面に出している。これは反イランを強調すれば、有志連合の結成が困難になりかねないとの危機感を反映するものだ。自衛艦の派遣に慎重な日本政府はとりあえず胸をなでおろしているようだが、トランプ大統領自身から個人的に求められた場合、安倍首相はやはり重大な決断を迫られることになるだろう。