音量が明らかにスケールダウン
一方で、この習志野の「美爆音」は今春のセンバツ高校野球(甲子園)で確かに物議を醸したことがあった。大会本部の高野連(高校野球連盟)に近隣から習志野ブラバンの大音量応援に関して苦情が数件入り、それがニュースで報じられるとネット上でも賛否両論の大論争に発展。
結局、習志野のブラバンは高野連側の要望を受け入れ、今夏の甲子園でも春のセンバツと同様に演奏で使用する太鼓を今までの4台から半分の2台に減らし、規模を縮小して応援を続けている。
つまり、今夏の甲子園では「うるさい」とクレームを入れられたセンバツ開幕当初の試合時よりも音量が明らかにスケールダウンしているということだ。そう考えると「『美爆音』にやられた」とする前出の記事の内容はますますつじつまが合わなくなる。
高野連関係者の1人は「『美爆音』にケチをつける人たちは、おそらく習志野をヒールに仕立て上げたい気持ちが強いのだろう」と分析し、次のように続けた。
「習志野は今春のセンバツで準優勝したにもかかわらず、大会期間中に対戦した星稜(石川)の林和成監督からスパイ行為疑惑を向けられ、否応なしに悪いイメージが残ってしまっている。だから批判したい側は習志野がやることに対して何でもかんでも〝どうせ悪いことをやっている〟として、スケープゴートにしやすいと考えているのでしょう。
『美爆音』も大音量で対戦相手にプレッシャーをかけ、習志野の戦いを有利に運ぶ狙いがあるに違いないと…。そのように頭の中で思い込んで身勝手なシナリオを作り上げているのでしょう。でも、これは見当違いも甚だしい。習志野のブラスバンドはあくまでも純粋な『応援』に集中しているだけであって、断じて対戦相手を『妨害』しようとしている愚行などではない。
事実として習志野のブラスバンドも我々からの要望を受けた今春のセンバツの途中から、すでに規模を縮小している。つまり、きちんと対応しているわけです。にもかかわらず、四の五の言いながら未だにイチャモンをつけながら習志野の粗探しをし続けている人たちがいるのは非常に悲しいことだ」
本当に習志野のブラバンは「うるさい」と感じるものなのか。今夏の千葉県大会に限り習志野のブラバンは、これまで通り太鼓4台を使用しながらの応援を継続。同県大会で習志野と戦って敗れた全7校のチームの選手たちに直接聞いてみると「応援の音量が他校よりも大きいとは感じるが、試合の流れに影響を及ぼすようなことはまったくないです。逆にうらやましいですよ」「応援のせいで負けていると感じているならば、甲子園に行く資格などないということ」などという答えが返って来た。
30人以上の選手たちに意見を求めたが「『美爆音』によって集中力を奪われた」とする声は皆無であったことを強調しておきたい。