2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2019年8月20日

(出所)2019年『高齢社会白書』を基にウェッジ作成 写真を拡大

 内閣府は、最新となる2019年版の高齢社会白書を6月18日に閣議決定した。同白書よると、高齢者の孤独死は過去最多を記録している。

 東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、17年に3333人。前年の3179人を上回っているのだ。同白書によると、03年の1451件からほぼ右肩上がりで上昇を続け、現在は約2倍以上に増加している。

 また、孤立死(誰にも看取られることなく亡くなった後に発見される死)を身近な問題だと感じる一人暮らしの世帯では50・7%と5割を超えている。

 私が取材したケースだと、65歳以上の高齢者は介護保険の充実、つまり要介護認定されて介護保険サービスを利用していたり、地域の民生委員によって定期的な見守りがなされていたりすることなどによって、比較的早い段階で発見されることが多い。

平均61歳、8割が男性
現役世代も予備軍

 取材をしていて最も深刻だと感じるのが、現役世代の孤独死だ。いつかはこの現役世代も高齢者になることを考えると、孤独死大国の危機はすぐそこに迫っている。

 日本少額短期保険協会孤独死対策委員会は19年5月に第四回孤独死現状レポートを発表した。それによると、孤独死の平均年齢は61歳。内訳をみると、その8割を男性が占める。

 さらに、発見までの日数は平均17日。つまり中年男性は長期間にわたって遺体が放置され、なかなか見つけてもらえないということが明らかになる。

 では、なぜ孤独死という結末を迎えてしまうのか。

 孤独死した遺族に話を聞くと、そこには日本社会の歪(いびつ)さが浮き彫りになる。男性の場合は、かつては会社勤めをしていたが、職場でのパワハラや部署異動、中間管理職としての重圧などによって、失職や休職していたという人が多い。つまり、職場の第一線で働いていたが、力尽きて、ジワジワと社会からフェードアウトしてしまうというケースだ。

 例えば、拙著『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)で取り上げた50代の大介さん(仮名)は、かつては先物取引の一部上場企業に勤めていた。しかし、上司の激しいパワハラに心が折れて、退職。

 その後は、貯金と退職金で食いつないでいて、20年間も自室にひきこもり、熱中症で孤独死した。


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