2024年11月25日(月)

Wedge REPORT

2019年8月20日

 また、かつてはスノボが趣味で独身貴族を謳歌(おうか)していた営業職のサラリーマンも、突発的なケガに見舞われたことが転落のきっかけだった。誰にもその窮状を相談できずに、住まいがゴミ屋敷化して孤独死。このような人生での躓(つまず)きは誰にでも起こりえる。つまり孤独死はみな、いつ起こってもおかしくないのだ。

 そして、見守りなどの行政的な支援が手薄である現役世代こそが、孤独死のリスクが高い。このように、痛ましい孤独死であるが、現実問題として、孤独死が起きた物件は事故物件となり資産価値は低下、また強烈な異臭から近隣住民にも大きなダメージをもたらす。

 中には体液が階下まで浸透し、原状回復するまでの2週間もの間、階下の住人がホテル暮らしを余儀なくされることもある。建材をむき出しにして解体しなければならないほどに部屋が汚染され、原状回復費用に700万円もかかったという事例もある。相続放棄しない限りは、その金額は遺された家族が支払うこととなる。

防ぐための解決策はあるのか?

 孤独死は個々の置かれている事情があまりに違うこともあり、画一的な解決策を見いだすのは非常に難しい。地域の民生委員や地区社協は、高齢者の見守りに一定の効果はあるだろう。しかし、民生委員自体も急激な高齢化が進んでおり、仕組みづくりの抜本的な見直しの時期にきているのも確かだ。

 厚生労働省などによれば、民生委員は16年度で、60代以上が85%を占めており、平均年齢は66・1歳と、24年間で5・5歳上がった。さらに、東京都では民生委員の充足率が92・2%と全国平均の96・3%に比べて4%ほど下回っており、東京都は人口が多いだけに課題の厳しさが増している。

 遺体の早期発見という意味では、行政も力を発揮できる。例えば、東京都中野区はホームネットという民間の事業者に委託する形で、「中野区あんしんすまいパック」(月額利用料1944円)を導入。利用者に週2回の電話で自動的に安否確認電話を行う。万が一、孤独死していた場合は、葬儀費用や残存家財の片付け、原状回復にかかる手配を行う。葬儀費用と合計で100万円以内まで支払われるという。

 また、セルフネグレクトの一例でもあるゴミ屋敷の対策には、医師や弁護士などが一丸となって取り組む足立区モデルと呼ばれる取り組みもある。

 「NPO法人エンリッチ」は、LINEを通じた見守りを無償で提供している。こちらは、LINEに友達追加して登録するだけで、設定された時間に安否確認のメッセージが届く。

「LMN」が行う見守りの様子。終活サポート団体として、定期的な見守りや介護施設の紹介、終末期のサポート、緊急時の駆け付けなど細やかなサービス提供を行っている(写真提供・LMN)

 OKをタップすれば、安否確認が済み、応答がなければ24時間後、さらに3時間後に安否確認のメッセージが届く。応答がない場合は、NPOの職員が直接本人の携帯に電話する。さらに安否確認が取れなければ、最初に登録した家族や友人などにNPOのスタッフが直接電話する。


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