私たちはいずれ「おひとりさま」になる
また、一般社団法人「LMN」も、レンタル家族としてユニークな取り組みを行っている終活サポート団体だ。
この団体は、定期的な見守りや介護施設の紹介、はたまた終末期のサポート、緊急時の駆け付け、亡くなった後の死後事務や、お墓のあれこれまで本人や家族の希望に応じたきめ細やかなサービス提供を行っている。
彼らは、自らの関係性を2・5人称と位置づける。そして、家族の手足となって孤立しがちな「おひとりさま」たちのエンディングプランニングを引き受けている。
たとえ結婚していたとしても、配偶者のどちらかが先に旅立てば、私たちはいずれ「おひとりさま」になる。今後はこうした民間業者の登場によって、地縁や血縁ではカバーしきれないつながりを、他人や民間企業が担う時代が到来するだろう。
部屋の原状回復を手掛ける特殊清掃業者は、孤独死の需要とともに年々増え続けている。しかし、わが国では「死人に口なし」で、孤独死対策は置き去りにされているお粗末な現状がある。
海外に目を向けると、イギリスでは孤独担当大臣を設置するなど、国を挙げての孤独、孤立対策に乗り出している。わが国でもせめて孤独死の明確な定義づけを行い、その実態把握に乗り出す必要があるだろう。そして、国としてもその対策を打ち立ててほしい。リミットはもうそこまできている。
孤独死の凄惨(せいさん)な現場を目の当たりにするたびに、もはや日本はその段階まできていると感じずにはいられない。さらに、私たち社会を生きる一人一人が孤独死を他人事(ひとごと)とせず、この問題と真摯(しんし)に向き合っていく必要があるだろう。
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■「看取り」クライシス 多死社会が待ち受ける現実
PART 1 「終末期」の理想と現実 ギャップは埋められるか
PART 2 医師不足で揺らぐ「終の棲家」 地域医療の切り札「総合医」は育つか
PART 3 今後急増する高齢者の孤独死 防ぐための手だてはあるのか
PART 4 高齢者を看取る外国人たち 人材難の介護業界に必要な整備とは
PART 5 山折哲雄氏インタビュー「死はいつからタブーになったのか?」 90歳を過ぎたら”死の規制緩和”を
■「看取り」クライシス 多死社会が待ち受ける現実
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