アフリカ系トランプ支持者の役割
トランプ大統領の集会に参加する支持者は、おそらく95%以上は白人でしょう。人口4500人ほどの小さな街である東部ペンシルべニア州モントゥアズビレで開催された集会に参加した支持者は、ほぼ100%が白人でした。
ところが圧倒的に白人の支持者が多いトランプ集会において、10名ほどのアフリカ系支持者が同大統領の右側の席に陣取ります。トランプ大統領の演説の最中に彼らは立ち上がり、「トランプ大統領と共和党は人種差別者ではない」と黒字で印刷された白いTシャツを参加者に見せます。するとトランプ大統領が彼らの方向を向いて、指を指して感謝をします。
南部フロリダ州オーランド及び中西部オハイオ州シンシナティでの集会でもそうでしたが、アフリカ系支持者が会場に入ると、他のトランプ支持者が立ち上がり、拍手喝采をして歓迎しました。彼らは特別なチケットを所持しており、特定の席に着席します。
『米民主党ベテラン議員はトランプの人種差別発言をどう捉えているのか?』で触れましたが、トランプ大統領は野党民主党の下院議員に対して人種差別発言を繰り返したために、同党から「人種差別者」とレッテルを貼られました。トランプ集会に参加するアフリカ系支持者は、民主党のこの批判をかわす役割を担っています。従って、彼らはトランプ陣営が仕組んだ演出をするためのリピーターとみてよいでしょう。
トランプが「リピーター作り」を重視する理由
トランプ集会で筆者の周囲にいた大抵のトランプ支持者は、集会に複数回参加しているリピーターたちでした。トランプ大統領は「リピーター作り」を意識して、「トランプ集会よりも楽しい集会はない」と強調します。
トランプ大統領の支持率安定の理由として、同大統領に対する忠誠心の高いリピーターの存在は看過できません。トランプ大統領には浮動票の獲得に時間を費やすよりも、必ず投票に出向く熱狂的なリピーター作りにエネルギーを費やす方が効率的であり、得策であるという読みがあるからでしょう。
実際、それは前回の米大統領選挙で証明されており、トランプ大統領は今回の選挙においても同様の選挙戦略を選択しています。
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