2024年11月22日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2019年8月18日

トランプの退役軍人への配慮

 米国には約2000万人の退役軍人がおり、トランプ集会に参加すると必ず彼らに出会います。トランプ大統領の支持基盤の一角を構成する退役軍人の中にもリピーターがいます。

トランプ大統領を熱狂的に支持する退役軍人のカールさん(海野撮影@オハイオ州シンシナティ)

 その一人が、シンシナティでのトランプ集会に杖をつきながら参加した退役軍人のカールさん(68)です。彼はベトナム戦争を経験しています。

 「今日は所持していませんが、普段私はズボンの後ろのポケットに銃を入れています」

 トランプ集会では銃とナイフの会場への持ち込みは禁止されているからです。カールさんはまずこう語ると、トランプ支持の理由を次のように説明しました。

 「退役軍人を専門とする政府系の病院に予約を入れても、診察してもらえるまでに数カ月も待たなければならないときがありました。トランプは予約を入れてから診察までに30日以上かかる場合は、非政府系の病院で診察ができるようにしてくれました。その場合も政府が医療費を支払ってくれます。トランプがシステムを変えてくれました。オバマやブッシュ(子)ができなかったことをトランプは成し遂げたのです」

 政府系の病院は、効率が悪く退役軍人に対する配慮が足りないと批判されてきました。トランプ大統領はそこに目をつけたワケです。

 「退役軍人を専門とする政府系の病院では、医師や看護師を解雇することができませんでした。しかし、トランプは彼らをクビにできるようにしました」

 カールさんがトランプ集会のリピーターになる理由が明確になりました。シンシナティで行われた同じ集会に参加した30代後半の退役軍人も、「トランプは私たち(退役軍人)に対する医療サービスを向上させてくれました」と述べて、大統領を高く評価していました。アフガニスタン戦争を経験したこの退役軍人は、トランプ集会に参加するのが2回目で、カールさんと同じリピーターでした。

「トランプ大統領を支持するバイクの愛好家」の団体に所属する退役軍人(左)(海野撮影@オハイオ州シンシナティ)

「トランプ大統領を支持するバイクの愛好家」

 2015年に設立された「トランプ大統領を支持するバイクの愛好家」という全米にある団体に所属するメンバーは、Tシャツやエンブレムのついたベストを着て集会に臨みます。南部フロリダ州オーランドでのトランプ集会で筆者と17時間並んだ同メンバーのケンさん(55)とクリフさん(52)もリピーターでした。

「トランプ大統領を支持するバイクの愛好家」のメンバーと筆者(@オハイオ州シンシナティ)

 余談ですが、シンシナティでの集会に「トランプ大統領を支持するバイクの愛好家」の幹部が参加していました。ある白人女性のトランプ支持者が、彼を紹介してくれました。ところが、彼女が筆者を「東京からトランプ集会に参加した大学教授」と説明したのにもかかわらず、彼はこう質問をしてきたのです。

 「あなたは不法移民か?」

 筆者は即座に否定すると、彼は嘲笑っていました。非白人に対する彼の挨拶の仕方かもしれませんが、このときは少々不快な思いをしました。


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