2024年11月25日(月)

中東を読み解く

2019年9月5日

マクロンの救済提案

 こうした中で、フランスのマクロン大統領の言動が大きな焦点となっている。マクロン大統領は先月、先進7カ国首脳会議(サミット)が行われたフランスのビアリッツにイランのザリフ外相を招待、制裁と核合意について話し合った。ニューヨーク・タイムズによると、マクロン氏はイランに対し、核合意の全面維持と引き換えに150億ドル(1兆6000億円)の融資を柱とした金融支援策を提案している。

 この提案は欧州の銀行がイランの信用状を引き受けることが骨子で、イランには通常時の石油輸出から得られる収入の半分が手に入るシナリオだ。ドイツもこの提案を支援しているが、肝心のトランプ大統領が賛同しているかどうかは不明。米国が反対すれば、欧州の銀行は米国から2次制裁を受けるリスクを負うことになる。

 対イラン強硬派のボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が、米国の「最大限の圧力政策」を台無しにするとして、明確に反対を表明したほか、イランの宿敵イスラエルのネタニヤフ首相も「イランと話し合うのは明らかに誤ったタイミングだ」と猛反発している。

 マクロン大統領はイラン危機の緊張緩和につなげるべく、今月の国連総会の機会に訪米するロウハニ大統領とトランプ大統領の首脳会談を仲介したい考え。実現する可能性は薄いと見られているが、北朝鮮の金正恩氏との会談に踏み切って世界を振り回したトランプ大統領だけに、予断を持つのは避けた方が賢明のようだ。

  
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