それぞれの国の事情に合ったエネルギー政策を
エネルギー政策は、何が一番優れている、と簡単に一言でまとめられる問題ではありません。国策を考える上で国家の成長は重要な要点であり、エネルギー政策も国の情勢、方針また需要を踏まえたものである必要があります。
スウェーデンと日本をみても、その状況がまず異なります。例えば、2009年の消費電力量はスウェーデンが123,374GWh、日本が934,149GWh(国際エネルギー機関 IEA:International Energy Agency)。人口約900万人のスウェーデンと1億2800万人の日本とでは、消費電力量にもこれほどの差が出るのです。そして、それに比例する電力の生産量。スウェーデンでは、このために原発による電力大量生産に依存することなく、水力や風力といった再生可能エネルギーにも目を向けることができるのです。また、Nord Pool(ノルド・プール)と呼ばれる北欧電力市場を通して隣国(現時点においてノルウェー、フィンランド、デンマークそしてエストニア)と自由に電力売買ができるスウェーデンと、そうした輸出入が行われてこなかった島国の日本では、電力事業体系も異なります。
スウェーデンでは、原子炉を一基廃止するごとに、当時原発推進国であったドイツやフランスから不足した電力を輸入する、という矛盾が非難されてきました。福島第一原発事故後に政策を転換した諸国でも、今後、こうしたエネルギーの逆輸入による矛盾が生じるのではないでしょうか。
エネルギー政策の再検討が各国で広まっている今、国民や専門家、政治家の間でも多様な意見がある中で、国の発展、そして国民の生活をどう守るべきか、慎重かつ建設的な議論が世界で求められています。
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