韓国の「読み方」

2019年9月13日

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澤田克己 (さわだ・かつみ)

毎日新聞記者、元ソウル支局長

1967年埼玉県生まれ。慶応義塾大法学部卒、91年毎日新聞入社。99~04年ソウル、05~09年ジュネーブに勤務し、11~15年ソウル支局。15~18年論説委員(朝鮮半島担当)。18年4月から外信部長。著書に『「脱日」する韓国』(06年、ユビキタスタジオ)、『韓国「反日」の真相』(15年、文春新書、アジア・太平洋賞特別賞)、『韓国新大統領 文在寅とは何者か』(17年、祥伝社)、『新版 北朝鮮入門』(17年、東洋経済新報社、礒﨑敦仁慶応義塾大准教授との共著)など。訳書に『天国の国境を越える』(13年、東洋経済新報社)。

側近や家族の不正は「いつものこと」

 中央日報などによると、韓国の大学入試では1997年に「随試(スシ)」と呼ばれるAO入試が導入された。この年は入学定員の1%強が随試に割り当てられたが、この割合は年々拡大を続け、今では定員の7割以上が随試となっている。随試で合格を得られなかった受験生が、日本の大学入試センター試験に当たる筆記試験での選考に臨むのだという。随試で主流となっているのは、高校の成績を記した内申書と課外活動を含めた生活記録による合否判定だ。

 今年初めには、富裕層から超高額の指導料を取って受験生と二人三脚で“完璧な記録”を作り上げる「コーディ(コーディネーター)」を題材にしたドラマが大人気を博した。コーディを頼めるのは超富裕層に限られるが、普通の人たちも「記録」作りに血眼をあげる。大学ごとに制度が少しずつ違うこともあり、結果的に「父母の能力や人脈を活用できれば、法に触れるようなことをしなくても非常に有利になる。多くの若者は、そのことに相対的な剥奪感を覚えている」(韓国人大学教授)という困った状況が生まれた。

 そうした中で、これまで「公正」「公平性」「正義」を声高に説いてきた曺氏が、娘の受験では公正とは言えない手を使っていた。曺氏にはさらに金銭絡みのスキャンダルが噴出してくる可能性すらある。ただ、側近や家族がさまざまなスキャンダルに見舞われることは、これまでの政権でもずっと繰り返されてきた。残り任期が少なくなってくる文大統領のレイムダック化を早める可能性はあるだろうが、朴氏と同じような弾劾訴追というのはハードルが高い。

 それに曺氏はソウル大教授である。曺氏に向けられる韓国民の視線が崔被告に向けるそれと大きく違う背景には、その点も小さくないように思われる。

  
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