2024年11月25日(月)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2019年9月15日

パーソナリティの衝突と忠誠心の欠如

 以上は外交政策上の不一致ですが、トランプ大統領とボルトン氏のパーソナリティの衝突と、同氏の忠誠心の欠如も看過できません。

 トランプ大統領はディールには柔軟性が不可欠であると考えています。それに対して、ボルトン氏は原理原則を曲げません。おそらくトランプ大統領にはボルトン氏は、「ディールのやり方をまったく理解していない人物」に映っていたに違いありません。

 そもそもトランプ大統領はボルトン氏を大統領補佐官に起用したとき、保守系の米FOXニュースでの同氏のコメントが気に入った、と述べていました。ボルトン氏の強硬姿勢がディールのパーツとして利用価値が高いという直観が働いたのかもしれません。トランプ流ディールは、交渉相手に対する強硬姿勢と対話路線の絶妙な組み合わせです。

 しかし今となっては、ボルトン氏は再選戦略に負の効果をもたらす存在になってしまったのです。

 加えて、ボルトン氏解任に関してトランプ大統領に対する忠誠心の欠如が主たる理由であったと報じる米メディアもあります。キャンプデービットで開催が予定されていたタリバン幹部との「秘密会議」について、メディアに情報を漏らした人物は、実はボルトン氏だというのです。仮にこの報道が真実であれば、トランプ大統領はボルトン氏を忠誠心が全く欠けている「造反者」とみなしたことになります。


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