こうしたハードを産業振興や雇用対策に活かすことができるのか、釜石市にとってはこれからが正念場になる。釜石市に限らず、人口減少や産業の振興は震災前から三陸の町が抱える課題であり、もっと言えば、日本の地方都市にとっては、共通した課題だ。「これが正解」という解があるわけではなく、時間をかけて試行錯誤を続けていくしかない。
身の丈に合った復興を
被災地にこれから求められるのは、「身の丈に合った復興」ということでもある。“身の丈に合った”というのは、震災以前の町の状況を見つめることだ。三陸沿岸の被災地では、産業の衰退や人口減少が続いていた。そうした町に、復興の名の下に様々なハードを建設したとしても、本当にそれを使い、活かすことができるのか疑問が残る。むしろ、要点を絞った復興策を考えることも一つの手だと言えるだろう。
本誌では、同じく被災地となった神戸市長田区と北海道奥尻町の事例を紹介する。長田区では、ケミカルシューズ産業、奥尻町では漁業という衰退産業があった。この問題に向き合うことなく進められた復興は、どんな結果をもたらしたのだろうか?
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