民主党も反中
今回の舌鋒鋭いペンス演説後も、これまでのところ、民主党のどの議員からも、異議を唱える声が上がっていない。
それどころか、今年に入り、香港の民主化要求運動が盛り上がるにつれて、民主党議員たちの間からは支持表明があいついだ。
そして去る9月18日には、ペロシ下院議長がわざわざ抗議運動の学生指導者ジョシュア・ウォン氏をワシントンに招待、議長室で他の民主党議員たちが同席する中で、勇気ある行動を讃えるとともにエールまで送ったため、中国メディアが一斉に「過激活動家を勇気づける越権行為だ」としてペロシ議長らを激しく非難する騒ぎにまでなっている。
対中貿易問題でも、民主党はトランプ政権の強気の姿勢を支持してきている。象徴的だったのが、今春、予算や関税問題などに関して強大な権限を持つ下院歳入委員会がロバート・ライトハウザー米通商代表の出席を求め開いた「米中貿易問題」公聴会だった。
民主党が多数を制する下院では通常、共和党政権閣僚が各委員会での証言に立つ場合、野党民主党側から厳しい質問が浴びせられることがしばしばだが、同公聴会では終始静まり返った雰囲気の中で行われた。そして民主党の出席議員の間からは、中国側に安易に譲歩することなく、毅然たる態度で臨むよう求める声があいついだ。リチャード・ニール委員長自らも「アメリカ経済の将来的繁栄は米中貿易いかんにかかっている。ぜひ確固たる姿勢で対中協議に臨み、良き取引をしてもらいたい」と通商代表を激励するほどだった。
さらに民主党は安全保障政策面でも、台頭する中国の脅威を直視する姿勢を前面に打ち出してきた。オバマ政権当時の2012年1月、公表された米軍事力のアジア太平洋への「リバランス」戦略が一例だ。同戦略は中国との直接対決を決してめざしたものではなく、東西冷戦終結によって生じかねない「空白」への中国の影響力拡大に備えたものだが、その基本的考えは今日、国防総省が立案する「国家安全保障戦略」にも受け継がれて来ていると言えよう。