Washington Files

2019年9月30日

»著者プロフィール
著者
閉じる

斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

(iStock.com/flySnow/Purestock)

 環境保護運動の最先端を行く人口最大州カリフォルニアが、トランプ政権がつぎつぎに打ち出してきた産業最優先主義に徹底抗戦を続け、来年大統領選に向けてその攻防に注目が集まっている。

 カリフォルニア州のザビエル・ベセラ検事総長は去る20日、他の23州の検事総長と連名で、州が独自に設けた厳しい自動車排ガス規制の撤回を命じたトランプ政権を相手取り、州独自の権限を逸脱する越権行為だとしてワシントン連邦地裁に訴えを起こした。

(PatriciaPix/gettyimages)

 トランプ政権は発足以来、地球温暖化規制の国際取り決め「パリ協定」からの脱退のみならず、各州における石炭、天然ガス採掘などの規制緩和といった、産業最優先の反環境主義政策をつぎつぎに打ち出してきた。

 今回の訴訟は、1960年代後半から深刻化してきたスモッグなどの環境汚染に対処するため、1970年に「大気浄化改正法Muskie Clean Air Act」(マスキー法)が施行された際、交通ラッシュ・渋滞で健康被害が相次いだカリフォルニア州に対しては自動車排ガス規制に関し全米基準より厳しい「特例措置waiver」が認められてきたことを受け、トランプ・ホワイトハウスが今月19日になってその特例をはく奪したことをめぐるものだ。

 しかも、このいわゆる“カロリフォルニア・ルール”には、これまで全米販売台数の3分の1のシェアを占める他の13州も追随してきており、今後、連邦政府対各関連州政府の大法廷闘争に発展する公算が大きい。

 さらに温室効果ガス削減については、オバマ前政権が2012年、一般車両の燃費改善措置を打ち出し、2025年までに1ガロン当たりの走行距離を54.5マイルとする目標値を設けた。しかし、トランプ政権はこれについても、1ガロン当たり37マイルにとどめることで、メーカーの負担軽減をめざすとしている。

 州権限はく奪を命じたトランプ大統領は19日、自らのツイッターで「カリフォルニア基準と全米基準は大差はないはずだ。(今回の特例はく奪決定で)より安価で安全な車の生産が可能になり、メーカーはこの機会を逃すべきではない。(従来の特例が続けば)メーカーは倒産してしまう」と自画自賛した。

関連記事

新着記事

»もっと見る