Washington Files

2019年9月30日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

「カリフォルニア憎し」のスタンス

 大統領就任以後、最近に至るまで、トランプ氏がカリフォルニア州に関して発信したツイートは全部で219回にも達しており、そのほとんどが批判や中傷めいたものだ。とくに、同州選出で大統領とは“犬猿の仲”ともいわれるナンシー・ペロシ連邦下院議長に関するツイートは90回、やはり同州選出で大統領のロシア疑惑を追及してきた下院情報活動委員会委員長のアダム・シフ議員関連が15回などとなっており、個人攻撃含め大統領の「カリフォルニア憎し」のスタンスは骨の髄まで沁み込んだ格好だ(ロサンゼルス・タイムズ紙9月17日付け参照)

 大統領はこうしたツイート攻撃のみならず、今年5月には、カリフォルニア州が着工中のロザンゼルス―サンフランシスコ間高速鉄道建設計画に対する9億3000万ドルの政府助成金打ち切りを発表した。表向きの打ち切り理由について、連邦鉄道局Federal Railroad Administration のロナルド・ベイトリー局長は「工期が何回も順延となり、実際にいつ完成するかわからない」と説明している。

 これに対し、ギャビン・ニューサム州知事は「用地収用コストが当初予定よりオーバーし手間取っていることは事実だが、とりあえずセントラルバレーをまたぐ170マイルの区間についてはすでに工事が始まっている」として、連邦政府を相手取り、打ち切り撤回を求める訴えを起こしている。

 その後、ニューサム知事は“意趣返し”からか7月、大統領選や州知事選の予備選で、立候補者に対し事前に過去の個人所得税申告内容の公表を義務付ける新たな州法に署名した。同法は、過去歴代大統領が自らの身の潔癖を国民の前に証明するため、申告内容を公表してきたのに対し、トランプ氏だけは多くの国民の要求にもかかわらず、拒否し続けてきたことから、トランプ氏の同州での立候補阻止を企図したものだ。

 結局、全米50州中、過去に前例のない同法については、ホワイトハウスの訴えを受けたサクラメント連邦地裁が「候補予定者の準備に支障をきたす」として、9月19日に一時差し止めの命令を下し、後日正式な判断を示すことになったが、州側はその結果いかんにかかわらず、控訴し、徹底的に法廷闘争に臨む構えを崩していない。

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