FBは変更なし
一方、ツイッター社のライバルでSNS最大手のフェイスブック社創設者マーク・ザッカーバーグCEOは同月23日、SNSの社会的責任問題を追及する米下院財務委員会公聴会に証人として出席、証言を求められた。
席上、議員の間からは、フェイスブック投稿欄で、著名人のプライバシー侵害、黒人やユダヤ人に対するヘイト・スピーチ、さまざまな政策テーマに関するデマ、脅迫などがエスカレートしつつあることについて、最高経営者としての責任を問う質問があいついだ。
とくに、同委員会委員長のマクシーン・ウォーターズ女史は、フェイスブックを悪用して右翼団体が虚偽の政治広告を垂れ流している現状に触れ「あなたの会社は無責任きわまる政治家たちに世論をかく乱する虚偽の政治広告を無制限に掲載させることで増収を図ろうとしている」などと厳しく批判した。
これに対し、ザッカーバーグ氏は「当社はあくまで言論の自由を支持しており、広告内容の真偽を判断する立場にない」「われわれはデモクラシー信奉者であり、政治家が何を言おうとしているかを国民自らが知ることが大切だ」などとして、従来方針を変更する意思のないことを明言した。
この下院公聴会に関連して、公共ラジオ放送(NPR)が同月30日、報じたところによると、政治広告掲載の社会的責任を否定した最高経営者の発言は同社内でも波紋を呼び起こし、これまでに従業員のうち250人が「他社が掲載する広告並みの水準を維持し、広告内容の事実確認作業を行うべきだ」とする公開状に署名の上、社内掲示板に載せたという。
また、NPRはツイッター社のドーシー氏が、ザッカーバーグ証言のわずか1週間後に新方針を打ち出したタイミングについて「明らかにザーカーバーグにジャブを食らわせたもの」とのコメントも伝えている。
米国のマスメディアにおける政治広告に関してはこれまで、その内容いかんにかかわらず事実上、野放し状態となってきた。とくにABC、NBC、CBSの3大ネットワークに代表される民放TV業界では、毎回選挙シーズンを通じ、与野党候補が入り乱れ頻繁に画面に登場、相手候補に対する非難、中傷合戦が展開されてきた。しかし、中央選挙管理委員会はあえて介入を避けてきた。その最大の理由が、合衆国憲法修正第1条に明記された「表現の自由」にほかならない。
ザッカーバーグ氏が、行き過ぎた政治広告に対する社会的批判が高まっているにもかかわらず、方針転換を拒否し続けているのも、この憲法規定に依拠したものだ。