Washington Files

2019年11月11日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

TVとSNS社会的影響の違い

 しかし、他方で、政治広告とくにネガティブ広告の場合、社会的影響はTVとSNSとでは段違いだ、との指摘がある。

 その違いについて、ドーシー氏ら専門家は、

  1. TV広告は不特定多数の視聴者を対象としているだけに、選挙の際に有権者に対する候補者のアピール力も限定的だが、ネット広告の場合は、ターゲットを極端に限定して流すことができるだけに受け手に対するインパクトは極めて大きい。
  2. TV広告は放映時間は瞬間的で一過性だが、ネット広告は持続性が高く、繰り返し閲覧できる。
  3. TV広告は広告主から視聴者への一方通行だが、ツイッターなどでは閲覧者がリツイートretweetにすることにより双方向で親近度が高まり、投票動向に大きく影響する―などの点を指摘している。

 今回のツイッター社の政治広告停止措置については、与党共和党と民主党が好対照の反応を見せた。

 共和党側ではまず、ブラッド・パースケール「2020年トランプ大統領再選委員会」委員長が「ツイッター社の決定は愚劣であり、株主を怒らせ、保守派を沈黙させようとするもの」として、次のような非難声明をツイッターで掲載した:

 「ツイッター社は何百万ドルもの(広告)収入源から自らを遠ざける道を選び、株主にとっても愚鈍極まる措置だ。同社は、リベラル・メディアに対しても同様に、共和党政治家を無責任に攻撃してきた広告を停止するのだろうか?ツイッター社はかねてから、トランプ大統領が最も洗練されたオンライン・プログラムの保有者であることを知っているがゆえに、(今回の措置は)保守政治家たちを沈黙させるもうひとつの試みだ」

 共和党政治ストラテジストの一人、マット・シュープ氏も「虚偽、歪曲広告は全体のごく一部に過ぎないのにすべての政治広告を排除するのは間が抜けている。健康に有害なタバコ・メーカー各社のコマーシャルが流れたことを理由にTV広告全体を停止するようもの」と反発。

 また、デジタル・ニュース・メディア「Axios」は、「政治広告停止がツイッターだけならまだしも、もしフェイスブックにも世間の批判が強まり同じ措置をとることになったとしたら、トランプ陣営の選挙資金集めと再選戦略全体がひっくり返えされることになる」と憂慮する共和党幹部の見解を伝えており、はからずも同党が、政治宣伝のためにとくにSNSを重視していることを認めるかたちとなった。

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