スウェーデンは、1976年から王位継承法を長子優先に改正する議論が始まり、1980年にヨーロッパ諸王国の中でいち早くそれを実現させた国です。それ以前は男子優先の国でした。カール・グスタフ国王にも実際4人の姉がいますが、1946年に待望の王位継承者として誕生し、1973年に即位しました。
現在の第一王位継承者であるヴィクトリア王女は1977年、カール・グスタフ国王とシルビア王妃の第一子として誕生。1979年にはカール・フィリップ王子が誕生しましたが、既に社会では男女平等についての意識が高まっていたこともあり、王位継承法改正の議論は凍結することなく、1980年にヴィクトリア王女が正式に第一王位継承者と決まりました。この度エステル王女が誕生したことによって、今後スウェーデンは、自国史上初めて2代続けての女王国となります。
欧州でも続々女王が誕生予定
1980年代以降、スウェーデンに続いて、オランダ、ベルギー、ノルウェーそしてデンマークが王位継承法を長子優先に改正しています。現時点では、スウェーデンのヴィクトリア王女を除くと全諸王国の第一王位継承者は男性ですが、第一子に王子を授かっているのはデンマークの王太子夫婦だけ。ベルギー、オランダ、そしてノルウェー王太子夫婦の間にはそれぞれ王女が誕生しており、スペインでも、もし今後王子が生まれない場合は第一子の王女が王位を継承することになります(現在、王位継承法改正を検討中)。
イギリスでも、昨年10月末の英連邦首脳会議で王位継承法の改正が合意され、ウィリアム皇太子夫婦の子息から長子優先に変更されることが見込まれています。
発言、外出、恋愛…
比較的自由なスウェーデン王室の魅力
こちらに住んでいると、スウェーデン王室は国民からも慕われており、日本の皇室に比べると、より「親しみやすい」という印象を受けます。
これはおそらく、王室がなるべく国民との距離や壁をなくし、民間にオープンな王室作りを目指しているからなのだと思います。
自然体で比較的自由に発言をし、外出時の警備も緩やか。恋愛に関しても厳重な監視はなく、ヴィクトリア王女が民間人だったダニエル王子と結婚したのを始め、カール・フィリップ王子やマデレーヌ王女も自由に楽しんでいるようです。また、王妃や王女がファッションアイコンとしても好まれ、王室関係のニュースやスキャンダルは芸能人並みに高い関心が寄せられているのも、スウェーデンの特徴かもしれません。特にSvensk Damtidning(スウェーデン女性誌)という国内国外の王室情報を扱った週刊誌は、現在10万部の定期購読に加えて、4万を越える部数が店頭に並ぶほどです。「王室」というセレブリティを保持しながらも、明るく気さくな姿をメディアを通して見せる態度に、人々は好感を持つのでしょう。
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スウェーデン王室が、2011年秋から自身の公式Facebookを公開していることも特筆すべき点です。メディアやパパラッチの行き過ぎた行為を防ぐ目的もありますが、王室からの語り掛けに国民が直接反応できる場として、こうしたソーシャルネットワークはとても貴重な働きをしています。今回のヴィクトリア王女の出産も、王室はFacebookを通して随時近況を報告。一日で1万人を越える新規ファンができ、数万の人々が見守りました。