2024年7月16日(火)

WEDGE REPORT

2019年12月1日

KPIを問わない心の交流

中国での指導のようす(愛甲さん提供) 

 最近、ある地方都市に指導に行きました。地方都市での販売がどうしても売り上げ重視になってしまっている。売り上げのKPI(重要業績評価指標)は大事だけれども、KPIを問わない心の交流を店員に経験させたい――。こんな趣旨のプロジェクトだったんです。

 かつて仕事は食べるためのものでしたが、豊かになった今は、自己実現や幸せの追求に重きが置かれるようになってきました。依頼元の会社には、社員自身が幸せになって、お客様に喜んで買ってもらうという状態に持っていきたいと言われました。

 ですから、会社へのロイヤルティ(忠誠)というよりも、会社へのエンゲージメント(自発的な貢献の意欲)という感じですね。会社も社員も互いに約束をして提供し合うという意識です。優良と言われる中国企業はどこもそういうふうになっていますね。接客に必要な知識をもっと勉強したいという熱心な店員が多いです。

――愛甲さんが創業メンバーでもあるワンストップ・イノベーションは、小売店でのインバウンドの受け入れ支援をしていますね。

 中国の経済発展を聞いてはいても、まだ一昔前のイメージしか持てていない方が結構いらっしゃいます。インバウンドの受け入れ現場にいても、お客様がどんな生活をしていて、どんなものを求めているのかをあまり調べようとしない人も多いですね。戦略的に中国のお客さんを取り入れていこうという会社以外は、実情をあまり知らないんですよ。

 ヨーロッパ発のハイエンドのブランドなどは、世界戦略として日本支社にも中国の視点や人材を入れて、インバウンドにしっかり対応しようとしているところが多いですね。日本育ちの日本の企業は、百貨店は別として、そういうことをあまり考えていないと感じます。インバウンドの実情を理解するには、中国のニューリテールを知るのが最も手っ取り早くて効果的な方法だと思っています。

  
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