中東を読み解く

2019年12月28日

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東地中海パイプラインをめぐる確執

 エルドアン大統領が軍派遣に踏み切った背景には、東地中海の天然ガス開発とパイプライン建設をめぐる確執があることも見逃せない。トルコはイスラエル、キプロス、ギリシャ3カ国による東地中海パイプライン計画から外されていることを重大視、計画阻止に動いている。

 トルコが11月、シラージュ暫定政権との間で、軍事協定とともに、排他的経済水域(EEZ)の境界で合意したのもその一環だ。パイプライン計画はイスラエル沖で採掘した天然ガスをキプロス、ギリシャ・クレタ島、ギリシャ本国を経てイタリアや欧州に送り込むというもので、4月にイスラエルと欧州各国が合意した。

 パイプラインは全長約2000キロ、2025年に完成予定。年間90億~120億立方メートルの天然ガスを輸送する。来年1月2日にイスラエル、キプロス、ギリシャが正式に計画に調印する見通しだ。だが、トルコはキプロスとギリシャがトルコのEEZ内で採掘活動を行っており、パイプラインもEEZ内を通ると猛反発。

 シラージュ暫定政権とEEZの境界で合意し、パイプラインの敷設を妨害する行動に出た。実際にパイプラインがトルコのEEZ内を通過するかどうかは微妙なところだが、ギリシャはこの合意に激怒し、ギリシャ駐在のリビア大使を追放するなど緊張が続いている。

 トルコの派兵決定の背景にはこうしたエネルギー資源をめぐる対立が激化していることもあるのは間違いないところ。ギリシャはトルコとシラージュ暫定政権をけん制するため、LNAと協力してトルコ船の取り締まりを強化しており、リビアをめぐる各国の綱引きはさらに活発化する雲行きだ。

  
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