WEDGE REPORT

2020年2月7日

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利益を出したテスラ

 テスラは2四半期連続して利益を出すことができず苦しんでいたが、2019年第3四半期、第4四半期、2期続けて税引き後利益が黒字になった。2019年の四半期毎の車種別製造台数は図-1の通りだ。モデル3の製造台数が順調に拡大していることが収益に寄与したのだろう。

 米国工場の生産能力は、モデル3と新型SUVモデルYを合わせて40万台、モデルSとXで9万台、上海工場はモデル3製造能力15万台だ。今年半ばには、米国工場のモデル3とYの生産能力は50万台に拡張される。さらに拡張中の上海工場のモデルY製造工場は15万台の生産能力がある。合わせると年産90万台の規模になり、さらにベルリン工場の能力が2021年に加わる。

 100万台前後の生産能力になるが、それでもフォルクス・ワーゲンあるいはトヨタの10分の1程度の規模だ。しかし、テスラの株価は上昇を続け世界の主要自動車会社の時価総額を抜き去り、いまや自動車業界ではトヨタに次いで時価総額世界2位だ。今月初めの株価上昇によりトヨタの時価総額に迫る勢いになった。生産台数からは考えられない株価、時価総額になっている。

 その理由の一つは、黒字体質が定着するのではとの予測だが、もう一つはパナソニックと共同で操業している米国の電池製造事業が黒字化したと発表されたことだ。電池製造がネックとみる投資家も多かったため、この発表によりテスラ株は2日で40%も上昇したし、パナソニック株も大きく上昇した。しかし、株価上昇の背景は電池事業の黒字化だけではない。

上昇を続けるテスラ株

 昨年5月、テスラ株は一時200ドルを割り込んだ。その後株価はじりじりと上昇を続け、今年1月2日には430ドルに達した。今年に入っても上昇を続けていたが、テスラが決算速報を発表したことと、パナソニックが電池事業の黒字化を発表したことにより、株価は一挙に上昇する。2月3日株価は671ドルから780ドルまで上昇し、翌日には最高値969ドルを付ける。その時の時価総額は1750億ドル、約19兆円、トヨタの時価総額25.8兆円に迫ってきた。その後テスラ株は落ち着き、2月6日現在では760ドル程度の取引になっている。

 世界の主要自動車メーカの時価総額は図-2の通りだが、生産台数を基に考えれば、テスラが飛びぬけて高い。この理由は、テスラの一株当たりの利益が将来大きく伸びると投資家が考えているということだ。テスラが無人運転タクシーなどの新規事業を手掛けることにより株価は現在の10倍になると予想する投資顧問会社もあると伝えられている。

 テスラについては悲観的な見方をし、将来の株価下落を予測する投資家も多く、最も空売りされている株の一つとされている。このため、株価上昇により空売りを行っていた投資家が手じまいを迫られ、それも株価上昇の理由の一つとニューヨークタイムズ紙などは伝えている。

 テスラの将来性については、楽観視できないと指摘する専門家もいる。その理由の一つはテスラが2017年に発表した電気トラックだ。300マイルあるいは500マイル走行するトラックを15万ドルあるいは18万ドルで販売するとして予約を受け付けているが、電池重量と価格からすると現在の蓄電池では実現することは不可能なレベルと見られている。

 革新的な電池を作り出さない限り電池重量によりトラックの積載量が制限されると指摘する専門家もいる。果たしてイーロン・マスクには秘策があるのだろうか。テスラ株はまだまだ乱高下することになるのだろうか。

  
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