World Energy Watch

2020年1月9日

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 お正月、いつものように「ながら族」で仕事をしながらテレビを見ていたところ、あるニュース番組が「再生可能エネルギー」の特集をしていた。ニュース番組のアナウンサーが各地の再エネ事業を取材したものだ。木材を活かすビジネスで移住者が増えた町、水力発電で潤う町などを特集していた。アナウンサーと取材班は、再エネ関連の本を近々出版するようだ。

(kudou/gettyimages)

 番組の後半では、ドイツの電力供給の半分ほどが風力、太陽光発電などの再エネになったことに触れ、日本も恵まれている再エネ資源を活かせば、20兆円近い化石燃料輸入代金も減少し大きな節約が可能になると示唆するような数字も流れていた。再エネにより地域に収入が入り豊かになれば少子化も止まるかもしれない。だが、そんなうまい地域創成が再エネを利用することで簡単にできるのだろうか。この番組が触れていない落とし穴がありそうだ。

 再エネが化石燃料資源消費量と輸入代金を大きく削減可能ならば、中東での紛争が日本へのエネルギー供給に直接影響を与える事態も少なくなり、日本もホルムズ海峡封鎖の可能性などをさほど心配しなくてもよくなるかもしれない。そんなことが近い将来実現するのだろうか。先ず、日本のエネルギー供給の状況を米国、欧州と比較しながら考えてみたい。

ホルムズ海峡を気にしなくても大丈夫なのか

 米国がイラン革命防衛隊の司令官を殺害したことから、イランばかりかイラクでも米国への抗議活動が広がっているようだ。米国はここまでの反発を予想していかなったかもしれないが、仮に大きな反発が起きホルムズ海峡のタンカー通過が妨害されても、米国のエネルギー供給面での影響は軽微と読んだ上での行動だったのだろう。

 米国は、シェール革命により天然ガスと原油の生産量が2000年代後半から大きく伸び、ともに今世界一の生産量となった。中国に次ぎ世界第2位の生産量の石炭は以前から輸出していたが、天然ガスでも輸出国になった。しかし、石油をみればまだ純輸入国だ。米エネルギー情報局のデータでは2018年の国内の原油生産量は日量換算1461万バレル、輸入量は1006万バレルだが、輸出量も519万バレルあるので、純輸入量は487万バレルだ。輸入のうちペルシャ湾岸が占める量は158万バレルに過ぎない。

 米国の中東からの原油輸入量は減少を続け、2019年10月の最新データでは全輸入量の1割を下回っている。イランからの輸入は当然ないが、イラクからも全輸入量の3%程度しかない。サウジアラビアからの輸入量も5%程度だ(図-1)。中東からの輸入が仮に途絶しても米国には大きな影響はない。

 日本の一次エネルギーに占める石油の比率は40%弱ある。さらに天然ガスが約25%ある。石油の9割弱、天然ガスの2割強は中東から来ている(図-2)。全エネルギー供給の4割近くを中東に依存する構造だ。日本の原油備蓄は約7カ月分あるが、天然ガスは約3週間分と言われている。

 日本のエネルギー自給率約10%に対し、欧州連合(EU)28カ国のエネルギー自給率は45%だ。図‐3の通り、原子力、再エネがそれぞれ13%あることに加え、域内の天然ガス、原油、石炭生産がある。一次エネルギーのうち3割を輸入原油が占めているが、ロシアが最大の供給国で中東の供給比率は約2割だ。18%を占める天然ガスの最大の供給国はやはりロシア。次いでノルウェーであり、中東のシェアは5%しかない。EUの中東依存度は一次エネルギーのうち7%を占めるだけだ。

 先進国のなかでは日本のエネルギー供給の中東依存が際立っている。中東の動きに大きな影響を受ける国は先進国では日本だけと言っても良いかもしれない。そんな状況が再エネにより改善されるならば、言うことはないが、本当だろうか。

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