新型コロナ感染症の未来
――感染終息の見込みは……
山本 感染の有無の判定には、今はPCR検査しかやっていません。これはウイルスそのものを検出する方法です。私は、宿主側、つまり感染した人間側の免疫反応を調べたら、ダイヤモンド・プリンセス号でも実はもっと多くの人がすでに感染していたということがわかるのではないかと思います。つまり抗体検査です。新型コロナの全体像を正しく把握するにはこのウイルスの血清疫学情報なしにはありえません。
私はクルーズ船と関係なしに、国内でも感染している人がかなり多数いるのではないかと思っています。SARSは半年で終息しましたが、新型コロナの世界中での感染はすでにSARSを大きく超えています。WHOも、現在の状況は、パンデミックと宣言しました。中国で昨年12月に始まった新型コロナですが、今回は少なくとも1年、今年の冬までぐらい影響は続くのではないかと予測しています。
――最後にひとこと。
山本 過去に学ぶことが大事ではないでしょうか。人は忘れる動物。のどもと過ぎればと言うやつです。2002-3年のSARS、2009年の新型インフルエンザは記憶に新しいところですが、人々はそのたびに慌てふためいているように思います。備えあれば憂いなし。感染症は地震や水害、などとならび危機対応のトッププライオリティーのひとつです。こと感染症危機が発生した時に本当に有効な、国の揺るぎのない備えが期待されます。
――ありがとうございました。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。