Wedge REPORT

2020年3月17日

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 2003年のSARS発生時にフランクフルト大から、SARSコロナウイルスを日本に持ち帰り、治療薬の研究を行った山本直樹・東京医科歯科大名誉教授、元国立感染症研究所エイズ研究センター長(ウイルス学)。新型コロナの水際対策、向き合い方について聞いた。

クルーズ船は、横浜入港前にすでにアウトブレイクしていた?

(REUTERS/AFLO)

――新型コロナウイルスが世界的に蔓延しています。世界保健機関(WHO)が世界中に感染拡大しているという「パンデミック」を表明しました。日本の対応全般について聞きたいと思いますが、まずはダイヤモンド・プリンセス号の対応は問題点が多かったと世界的に批判されました。

【山本直樹・略歴】1970年熊本大医学部卒業、1984年山口大医学部教授、1990年東京医科歯科大教授、2004年同大名誉教授、2001年国立感染症研究所エイズ研究センター長、2010年国立シンガポール大教授。

山本 日本の対応について語る前に、ダイヤモンド・プリンセス号の問題点をいくつかあげたいと思います。

 ひとつは、1月20日から2月1日までの12日間のクルーズ船側の対応です。ご存知の通り、横浜で、最初に新型コロナウイルス感染がわかった香港男性が乗船し、25日に香港で下船しました。その後、ベトナムなどを経て、2月1日に那覇に入港しました。その日に下船した香港男性の新型コロナウイルス感染が判明したわけですが、もともと咳の症状がありました。

 ここから、スワ大変となったわけですが、私は、かつて船医をやっていたことがあるので、実はその2月1日までの12日間で、3000人を超える乗客の中に風邪や発熱症状を訴えた人は少なくなかったのではないかと考えています。香港男性以外の乗客にも具合が悪い人がいることに、ダイヤモンド・プリンセス号の医療スタッフが気づかなかったのだろうかというのが疑問の第一です。

 時はまさに中国、アジアをはじめ、誰もが知っている新型コロナウイルス感染症が世界中を震撼させている頃です。この感染症に思いを致すという発想はなかったのでしょうか。

――二つ目の問題点は?

山本 もうひとつは、船内でのリスク管理の方法です。船中の感染症の集団発生はリスクの中心的なものの一つと思われますが、それに対する備えは十分だったのかという疑問です。さらに乗船客への感染症に対する教育はどうなっていたのでしょうか?

 国連海洋法条約の旗国主義によれば、とくに公海上ではその主権はクルーズ船の船籍がある英国にあります。報告も入らず日本が口を出せなかったのもわかりますが、今こそこれらの点をクルーズ会社や船長、医療責任者の口から明らかにしてほしいものです。

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