信頼されるようになると、次々、新しい仕事を任されるようになった。そのひとつが『長寿命化コンクリート EIEN』の研究だった。古代ローマや中国の遺跡から発掘されたコンクリートの中に、いまだ、強度を保っていたものがあった。調べるとコンクリートは“炭酸化”という反応でさらに硬くなることがわかった。この知見をもとに長期耐久性を持ったコンクリートを作ったのだ。
『スイコム』も『エイエン』も、見た目は一般的なコンクリートと変わらない。従来のコンクリートと同様の使い方ができるよう考えられている。
(※写真はCO2-SUICOM)
(※写真はCO2-SUICOM)
さらに、コンクリートにCO2を入れて硬くできるなら、大量のCO2を吸収し、そのまま固定してしまう、環境によいコンクリートは作れないか? こうして『CO2-SUICOM』の研究が始まり、取違は今、既に実用化を終え、さらなるコストダウンに向けての研究を開始している。
「どれも“無理です”と言わない精神が活きたんです。研究って、はじめる前はまだ理屈しかなかったり、非常に高価になることが予想されるなど、むしろ“無理”と思ってしまうものばかりなんです。でも、私はむしろ“世界で初めてのものを作るんだ”というワクワク感を持っています。無理です、は人生の敵ですよ。むしろ、一度達成感を味わうと、高い目標を与えられるほど“なら、どうすれば達成できるか”と前向きになれるんですよ」
若い頃の辛さ、それは、将来の挑戦に結びついているのだ。
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