2024年4月27日(土)

古希バックパッカー海外放浪記

2020年5月16日

ポーランドの若き修道士から学ぶ

若き修道士と無職のオジサン

 7月19日、プラハ観光3日目。前夜の深酒が祟って午前中は二段ベッドで沈没状態。午後から断続的小雨の中、マラー・ストラーナというプラハ城の南側の丘の上の地区を散策。3時頃プラハ城近くの修道院まで下りてきて修道院の入口で雨宿りをしていたら、若い修道士が傘もささずにやってきた。

 彼は修道院のインターホーンで何やら話をしていたが首尾不調のようだ。聞くと、修道院に今夜泊めてくれとお願いしたが、責任者が不在なので夕方出直して来いと言われたらしい。

 修道士はポーランドの地方の村の出身。現在31歳と若いが、なんと11歳から修道院で暮らしてきたので既に20年も神に仕える生活をしていることになる。ここ数年はローマ近郊の修道院で修業中。

 今回は久しぶりにポーランドの実家に帰郷。母親がプラハに出稼ぎに来ているので今夜母親が仕事を終えてから一緒に食事をする予定らしい。

 彼は子供の頃から修道院で暮らしてきたので運転免許証もなく、スマホも持っていない。真面目で不器用で無垢な青年だ。話していると世俗にまみれたオジサンまでピュアな気持ちになってきた。オジサンは今までの66年間の人生でこんなに純粋な人間に初めて遭遇したことに気づいた。

 自動車もスマホもない祈りと瞑想と奉仕と学問だけの生活。つまりテクノロジーや財産や名声とは無縁の人生。そうした“浮世離れした時空間”が遠く輝いて見えた。

欧米若者がベジタリアン化するのはなぜか?

 7月20日、夕食を作っていたらベルギーの高校生二人組と仲良くなった。レベッカは秋から服飾関係の学校に行く計画。ジェシカは卒業後一年間ギャップイヤー(gap year)として海外放浪する。彼女たちは節約のため毎日キッチンで自炊するので何度も一緒に食事することになった。

 2人は数年前からベジタリアンに転向した。二人によると欧米若者の間では近年急速にベジタリアンが増加しているが、宗教や家庭環境はまったく関係ないという。個人が自ら判断してベジタリアンになることを選択しているようだ。

 筆者自身の観察では欧米若者の半数近くはベジタリアンと推測する。ホステルのキッチンでソーセージやサラミなどをオファーすると半数くらいはベジタリアンだからと謝辞する。以前から欧米若者の“ベジタリアン化のメガトレンド”を不思議に思っていたので二人に理由を聞いてみた。彼女たちの説明を整理すると以下のようになる:

・ベジタリアンはヘルシーである:肉食よりも菜食のほうが健康に良い。

・ベジタリアンは環境への負荷が小さい:肉類では牛>豚>鶏の順番で牛が最も負荷が高い。

・ベジタリアンは経済的:欧米では高卒後に実家を離れ自活するので食費節約は切実

・ベジタリアンは動物愛護的:動物を殺すのは可哀そう

なぜアジア系若者にベジタリアンがいないのか

 現状では筆者の見聞した限りでは、アジア系若者の間では欧米のようなベジタリアン化の潮流は見られない。今後アジア世界でも欧米に倣って菜食主義者が増えてゆくのか興味深い。

 ちなみに禁煙の潮流は欧米からアジア諸国に急速に広がっていった。しかしイスラム教圏の中東や西南アジアでは禁煙の流れは極めて緩慢である。

 肉食偏重の欧米に比較してアジアの食文化はもともとヘルシーなので、敢えて菜食主義に転向する必然性が希薄ということなのだろうか。

次回に続く

  
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