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2020年5月14日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

元CIA幹部が次々と告白

 番組は、後半に至って、元CIAの高官がJFK暗殺の研究者たちのシンポジウムに登場して、CIAの一部の人間の暴発によって、オズワルドを利用しながら暗殺が敢行された、という新たな説が表明された。

 CIAのヨーロッパ総局長を務め、長官賞を幾度も受賞した、ロルフ・ラーセンの証言である。内部犯行説を唱える理由について、ラーセンは「真実の探求から逃げれば、この国はなにかを失う」と語る。

 ただし、その証拠は残っていないだろう、とラーセンはいう。しかし、JFK暗殺を実行できる力があるのは、CIAしかない、と核心を語っていく。それは、計画能力と、情報収集能力である。「さらに、CIAで働いてみると、クレイジーな人間が多かった」という。

 ラーセンによると、暗殺の計画を練り、工作員を動かせるのは、「CASE OFFICER」と呼ばれる上級の役職者のみである。暗殺事件当時、世界で百数十人がいた。そのなかで、オズワルドに関わる、国内局と西半球局のなかから、動機と人間関係から、2人に絞り込んだ、とラーセンは自信をのぞかせる。

 西半球局長だった、ジェイク・エスターラインと、暗殺事件の現場だった、ダラス支局長のウォルトン・ムーアだという。ふたりは、第二次世界大戦中に日本軍と戦った同じ部隊に所属していた。

 さらに、エスターラインは、失敗に終わったキューバ侵攻の「ピックス湾工作」の責任者だった。JFKの了解を取らずに始めた作戦は、最終段階で大統領による空爆が認められなかったばかりか、JFKはCIAの長官と副長官を更迭し、さらにCIAの解体も視野においていたという。

 CIAの情報を当時、大統領に上奏する、重要な役割を担っていたレイ・マクガバンは、ある職員が次のように言っていた、と証言する。

 「JFKは共産主義に近い。ソ連のやり方だ。(米国人)1000万人の犠牲がでても、やらなければならない……歪んだ正義感です」

 元CIA高官のラーセンは、暗殺事件の最後の仕上げは、工作でよくやる「COVER STORY」つまり、ひとりの仕業にみせかけることでる、という。

 貧困のなかで育って、社会に対する敵愾心があり、共産主義に傾倒し、ソ連に亡命までした、オズワルドはそのひとりにぴったりだったのである。

 今回の調査の過程で、オズワルドが暗殺事件の数カ月前にあるスピーチの中で、語った言葉が明らかになった。聖書のヨハネの福音書の一節である。

 「あなたがたは真実を知り、真実が、あなたがたを自由にする」

  
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