2024年4月20日(土)

VALUE MAKER

2020年6月28日

 20年5月にオープン予定だった「ニュウマン横浜(NEWoMAN横浜)」では、グッチやティファニーが並ぶ1階に出店する準備ができており、新店名を「MAISON CACAO(メゾンカカオ)」にした。4月から会社の名前も同じにした。高級品と肩を並べるブランディングは当初からの計画通りだ。

 現在予定している国内店舗は合計8店だが、それ以上は当面、国内では増やさない。一方で、パリに進出する準備を進めており、本場で勝負に出る予定だ。本来ならば今年オープン予定だったが、新型コロナの影響で時期は後ろ倒しにした。いずれ出店が実現すれば、「世界ブランド」に飛躍する足がかりにしたい考えだ。 

 一方で、日本国内にも工場を作る計画を進めている。現在、大手油脂会社が大型プラントでチョコレート原料を作っているが、小回りのきく小型設備を完備して、日本のパティシエなどに厳選したカカオから作った製菓用チョコレートを卸販売する。

 もうひとつ石原さんが「世界ブランド」と並んで当初から掲げてきた方針がある。「100年ブランド」を作る、というものだ。コロンビアのカカオ農家を支え、発展させるためには、一過性のブームで終わらせるわけにはいかない。

「ワン・チーム」の秘訣

 石原さんは帝京大学ラグビー部の出身。大学4年生の時に「学生コーチ第1号」になり、監督と共に組織改革に取り組んだ。もう試合には出られない4年生が、本気になって練習に取り組むことで、3年生以下のレギュラーになれないメンバーも真剣になるという。「ワン・チーム」を作り上げる秘訣(ひけつ)を学んだわけだ。

 学生コーチとして基盤を作った帝京大学ラグビー部はその後9連覇を遂げる。ナショナルチームで活躍している後輩も数多い。

 「チームをまとめていくという経験が経営に役立っています」と石原さんは語る。

 どうスタッフのモチベーションを高めるか。メゾンカカオでは月に一度、最も活躍したスタッフをMVPとして表彰している。数字の見える営業だけでなく、配送や管理のスタッフも対象だ。MVPや敢闘賞には報奨金も出す。年間MVPには旅行券をプレゼントする。スタッフのやる気がどれだけ高まるかが、チーム全体の成績に直結することを石原さんは痛感しているからだ。

 チーム石原が今後、どんな風に化けていくのか。石原さんたちの挑戦はまだまだ始まったばかりだ。

本社にはキッチンがあり、日々試行錯誤を続ける(写真=湯澤 毅)

  
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◆Wedge2020年6月号より

 

 
 
 
 
 
 
 

 

 

 
 


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