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2020年6月28日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

ジャーナリスト

千葉商科大学教授(4月から)。1987年日本経済新聞社に入社。フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務め、11年に独立。著書に『2022年、働き方はこうなる』(PHPビジネス新書)など。

【石原紳伍( いしはら・しんご)】
1984年生まれ。帝京大学ではラグビー部に所属。卒業後は、リクルートに就職して、『ホットペッパー』などの業務に携わる。在職中から会社を立ち上げるなどした後に独立し、2015年「ca ca o」を創設。(写真=湯澤 毅)

 「上質なチョコレートを日常で楽しむ文化を日本でも広げたいと思ったんです」

 2015年に「ca ca o」ブランドを創設したメゾンカカオ(旧ジャーニーカンパニー)社長の石原紳伍さんは言う。

 もともとはチョコレートを食べられなかった石原さんが、その魅力にとりつかれたのは南米コロンビアを訪れた時のこと。同国産のフレッシュなカカオと、コロンビアの風景にすっかり魅せられた。

 チョコレートは融点が高く、口の中の唾液量や温度などで味が変化するほど繊細な食べ物。そのためチョコレートに含まれる水分量や空気量が重要だが、最大の要素は、素材であるカカオ豆の品質だ。

 世界のチョコレート製造は長い間、川上のカカオ栽培など農業分野は発展途上国が担い、川下の工場での原料製造や、最終製品の製造・販売は先進国が行うというモデルが続いてきた。欧州諸国のチョコレート・ブランドが日本を含む世界の先進国市場を席巻しているのはご存じの通りだ。それではカカオ農場を持つコロンビアなど発展途上国の付加価値は低く、いつまでも生産者は豊かにならない。

 また、収穫したカカオ豆は発酵させ、消費地である先進国に持っていくが、そのまま輸送する場合、貨物船を使えば発酵はどんどん進み、その間に品質は大きく劣化する。本物の上質なチョコレート原料を手に入れるには、自ら生産地であるコロンビアを訪れ、実情を知り、真のパートナーシップを築く必要がある、そう石原さんは考えた。生産地と消費地を直結すれば、お互いに潤うことになる。

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