2024年11月25日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年6月12日

 確かに、中国の伝統文化には、中東で生まれ欧米で花咲いた「一神教」的世界観のような普遍性はなく、両者は衝突する可能性すらあります。ただ、この欧米の「Judeo-Christian式普遍性」論にも「陥穽」はあります。

 また、スキデルスキー卿の議論の中で最も気になったのは、儒教・仏教と政治改革・人権を論じた部分です。「人間、動物、植物に差がないと考える仏教」という指摘や「君と臣、父と子」に関する孔子の引用などを見ると、歴史家の割には、この人のインド・中国文明の理解が浅いことが良くわかります。

 また、現在中国は支配ではなく、尊敬を求めているという指摘は、事実として間違ってはいません。しかし、中国はかつての大英帝国のように世界の「支配」を望んでいないだけであって、中国周辺地域の地域「支配」については当然これを望んでいます。

 そうした地域「支配」の野望が次第に明らかになってきたからこそ、同地域で中国はあまり「尊敬」されていないのですが、スキデスルキー卿もこうした事実には意外に無頓着なようです。

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