使えない上司・使えない部下

2020年6月27日

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(Comstock/gettyimages)

 今回は、全国で講演やセミナー、研修などの講師業や執筆活動を展開するクロイワ正一さん(57歳)に取材を試みた。

 クロイワさんは1994年に教育支援会社・ヘルメスを起業し、主に学生や社会人に文章指導やプレゼンテーションスキルなどの研修講師をする。最近の講演テーマは「論理的な書き方、話し方、教え方」「仕事を引き寄せる表現術」などが多い。大学の客員教授や一般社団法人の理事、地方自治体の産業創造アドバイザーなどを歴任してきた。著書に『企業戦略白書II』(共著、東洋経済新報社)、『ファースト・セカンドレベル 短時間!ULTRA®方式 合格レポート わかりやすく効率的な書き方』(日総研出版)、『複数内定者に学ぶ 就活勝者のプレゼン』(ライオン社)、『クロイワの楽勝!小論文』(KKロングセラーズ)などがある。

 クロイワさんにとって「使えない上司・使えない部下」とは…。

「会社員をしていたほうがはるかにいい」

 会社員の方から、転職や独立、起業の相談をよく受けます。最近は退職し、フリーランスになりたい人や起業を考える人が訪れることが増えてきました。会社員をしながら、ほかの仕事を副業する方もいます。このような方たちから、「会社を辞めて、自営業をしたいが、どのように思われますか」と尋ねられる場合があります。私は、「会社員をしていたほうがはるかにいい」と必ず答えます。

 そのような中には、腹の括り方が甘い人もいるように感じるのです。「会社を辞めて、もう行くところがない、ここで生きていくんだ」といった背水の陣の覚悟を感じ取れないのです。「あなたは、この厳しいビジネスジャングルで生きていく力が本当にありますか?」と問うようにしています。

 私も腹を括り、1994年に独立しました。一橋大学社会学部を卒業し、(1988年に)入社したのが、日興證券(現SMBC日興証券)でした。新宿支店で半年間勤務の後、退職し、転職したのが、社員が20人ほどの広告代理店。ここには、証券会社の同期で入った東大卒の社員がいました。2人で中小企業の経営者に電話を入れ、テレアポセールスを始めました。中小企業を徹底して調べ上げ、リストアップし、猛烈なテレアポを続けることに楽しさを感じる日々でした。この頃、私にはもう、会社のブランドや学閥、学歴に頼る考えがなかったのです。自分の力で人生を切り拓いてやる、といった思いが強かった。

 その後、退職し、東大卒の男性ともうひとりの男性の3人で小さな会社を起業しました。雇われ社長を経験した後、1994年、現在の会社をひとりで起こしたのです。当初は、手元にさしたる資金がありませんから、早いうちに現金として受け取ることができるサービスをしようとしました。始めたのが、パソコンの指導。多くの会社にパソコンが急速に浸透し始めた頃でした。5社程から契約は受注できました、依然として安定した収入源がありません。そこで、1995年からは大学受験予備校で英語を教え始めました。

 2001年から03年まで一橋大学大学院修士課程に通学し、修了後、04年にキャリア・コンサルタントの資格をとりました。新入社員や管理職の研修をする会社や経済団体、役所、病院から講演、セミナー、研修の依頼が来るようになりました。

 裸一貫でスタートしましたから、現在に至るまで覚悟は決めているつもりです。こういう思いがないと、起業家として会社を長きにわたり経営することは難しいと思います。たとえば、仕事の依頼を受けた場合、基本的にはそれを断る選択肢はないと考えたほうがいい。少なくとも「私はできません」と安易には言わないほうがいい、と思います。報酬の額が少ないならば、それを引き上げるだけの内容の仕事を提供するべきです。私は、そのようにしてきました。

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