2024年11月22日(金)

Washington Files

2020年7月8日

無類の親友も悲観論

 一方、これまで一貫して大統領擁護のコメントを発してきたトランプ氏の無類の親友で同テレビ局看板コメンテーターでもあるタッカー・カールソン氏は、今回の FoxNews 報道直後の去る3日、自分の番組に出演、大統領のレース脱落の可能性への直接の言及は避けたものの「右派の人たちはあまり声高に言おうとしないが、トランプ氏が敗北することは十分ありうる。実際、こうした最新の世論調査結果に示された支持率などが根本的に変わらなければ、彼の再選は難しい」と率直に語り、再選可能性について初めて悲観的な見方を示した。

 このように、投票日まであと4カ月足らずとなったこの時点で、与野党から「トランプ脱落」「敗退」といった観測が出る直接のきっかけとなったのは、現政権寄りの FoxNews が発表した6月18日および25日付の2つの世論調査結果だった。

 まず18日付同調査では、全米有権者を対象として、次期大統領選でトランプ、バイデン両氏のどちらに投票するかを聞いたところ、バイデン候補支持50%に対し、トランプ大統領支持は38%にとどまった。このうち、トランプ氏は「無党派層」では22ポイント、「婦人層」で19ポイント、「30歳以下の有権者」で37ポイント、「65歳以上」でも10ポイントと、バイデン氏に大きく水を開けられていることが明らかにされた。

 そしてさらに25日付の同調査では、トランプ氏の再選にとって死活的に重要な南部4州においても、フロリダ州でバイデン氏49%対トランプ氏40%、ジョージア州とノースカロライナ州でバイデン氏47%%対トランプ氏45%、さらに大票田州のテキサス州でバイデン氏45%対トランプ氏44%と、すべてバイデン氏がリードしていることが判明した。これら4州では前回2016年選挙で、いずれもトランプ氏がヒラリー・クリントン民主党候補相手に勝利を収めており、今回も再選に向けて「安全テリトリー」最近までとみられていた。

 これに加えさらにトランプ陣営にとって新たな打撃となってきたのが、先月後半以来のコロナウイルス感染の南部諸州における新たな拡大だ。

 それまでは、たとえ支持率でバイデン氏にリードを許したとしても、今後、追加的財政支援策を積極的に打ち出すことで、早期に経済を立て直し、11月投票日までには傾勢を逆転できるとの希望的観測もホワイトハウス内にあった。しかし、ここに来て南部へのコロナウイルス感染拡大と、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴなど大都市への「第二波」感染到来の恐れも高まってきたことから、米国全体の経済「V字回復」への道も遠のきつつある。


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