商社にはうってつけの立ち位置
サプライヤーとユーザーをつなぐという点で商社のビジネスに近いことや、「世界で過去に打ち上げられた衛星の数は約8000基。それが今後10年、小型衛星だけで約7000基の打ち上げ計画があり、そのうちライドシェアの潜在需要は約2400基あると見込んでいる。これまで宇宙とは縁のなかったプレーヤーの参入が増えることも予想されるなか、ライドシェアサービスは、どんな目的で衛星が打ち上げていかれるのか観察できる絶好のポジションにある」(武者氏)。
ライドシェアにおいて課題となるのが、小型衛星事業者にとって、自分の望む「軌道」に乗れないということだ。観測したい用途、場所によって最適な軌道はそれぞれ異なるが、ライドシェアだと主衛星である大型衛星の軌道に乗ることになる。
スペースフライトでは、この課題を乗り越えるべく「軌道遷移(Last One Mile Delivery=ラストワンマイルデリバリー)」のサービスも今後手掛けていく予定だ。要するに、いったん大型衛星の軌道の乗るものの、そこから望ましい軌道まで移動させるというものだ。
モビリティ第二本部輸送機械第四部宇宙事業開発室室長の重枝和冨氏は「現在の宇宙ビジネスは、インターネット黎明期と似ている。最初は何に使うのか分からないという声が大半だったが、思いもよらなかったような用途が次々と生まれていった。宇宙ビジネスにおいても、これまで業界とは関係のなかったプレーヤーが参入することで、新しい用途が生まれ、それが新しいビジネスとなるはずだ」。
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