「海外事業の立ち上げは、事業継承のまたとないチャンス」と語る石塚勝社長。
1971年に26歳で同社を創業して以来、経営の第一線に40年以上立ち続けてきた勝社長にとって、事業承継は大きな課題だった。博臣専務は、同社がリーマン・ショック後に取り組んだ新技術の開発や販路開拓で、大きな成果を出すまでに成長を遂げていた。だが実際に、社長を交代するには「経営のもっと踏み込んだところまで経験してもらわなければならない。海外進出は、それを学ぶ良いチャンスだと考えた」(勝社長)。
海外進出を、事業承継のまたとない機会として活用するという前向きな発想に、ピンチをチャンスに変えることの大切さに改めて気付かされるのである。
「日本では仕事が専門分化し、自分でやれる事柄がある程度限られますが、ベトナムでのビジネスはすべて私の決断ひとつ。非常にやり甲斐があります」(博臣専務)。この6月、彼が日本に一時帰国する直前に開かれたパーティーで、現地従業員たちは「シャチョウがいなくても、私たちが頑張ります。また元気に帰ってきてください」と声をかけた。その言葉に励まされ、彼は、ベトナムビジネスに同社の未来を拓く礎を築き上げようとしているのだ。
会社名 | ダイヤ工芸株式会社 |
所在地 | 神奈川県川崎市 |
設立 | 1971年 |
従業員数 | 46名 |
代表取締役 | 石塚 勝(いしづか・まさる) |
専務取締役 | 石塚博臣(いしづか・ひろおみ) |
事業内容 | 一般樹脂部品への加飾全般 |
プラスチック樹脂面へのシルクスクリーン印刷およびPAD印刷、 樹脂面に金銀色の箔などで装飾を施すホットスタンプ等 |