2024年11月22日(金)

ルポ・少年院の子どもたち

2012年7月20日

 なぜ、少年院でライフセービングなのか? その意図は浜辺の安全に配慮し、命を守り、命を救うことに力を尽くす活動や、ライフセーバーの心身を育む生命教育が、彼らの再犯を防ぐことや、非行の抑制に繋がるのではないかと考えたからである。

 講師に招聘された彼らもまた様々な葛藤を繰り返しながら、伝えるべきは命の大切さであり、「限りある命、だからこそ命を大切にしてほしい」「たった一度の人生は、与えられたものとして、より豊かに生きるよう努めてほしい」という根源的な願いを込めて当日を迎えた。

 「どうしたらお兄さんにようになれるのですか」「ぼくにも資格が取れますか?」

 心肺蘇生法(CPR)の講習中、少年たちから傍で指導する学生たちに質問が飛んだ。過ちを犯した手であっても、学ぶことによって、人を救う手に変えられるということが伝わったと講師の誰もが感じたに違いない。生命の大切さを伝える側と学ぶ側。時間の経過と共に水府学院の体育館は真剣さと熱気が支配する空間へと変わった。今年度も12月に開催されることが決まっている。

外部の人たちの理解の目

 少年たちに必要なことは社会との正しい繋がりであり、少年院という閉ざされた感のある施設には、外部の人たちが理解の目を持って接することが必要だろうと思われる。

 そのためにも茨城県で行われている、水戸生涯学習センターと水府学院のような取り組みが、他の地域にも広がるべきではないだろうか。それが矯正施設と地域社会が深く繋がることになり、ひいては少年たちの社会復帰を促すことに繋がるのではないだろうか。

 本稿の取材にあたって、水府学院と水戸生涯学習センターの職員の方々には多大なるご協力をいただきました。深く感謝しております。

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