Wedge REPORT

2020年9月7日

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 いずれにせよ、少なくとも筆者が直接耳にしたのはパの2球団のスカウト。そのうちの1人は「環境を変えてあげれば、藤浪は元に戻るか、まだ出し切れていない潜在能力を開花させて化ける可能性もあると思います」と嘘か真か随分と激賞し、阪神側からトレードの話が舞い込んでくるのであれば球団上層部と前向きに検討することも視野に入れるとしていた。

 そうした背景を考慮すれば、阪神にとって、もうここは思い切って藤浪放出に動くのも十分に球団としてプラス要素を生み出す効果を得られやすいプランニングになると推察する。奇しくも先日、阪神の有力OBが「今の低迷を招いたのは言うまでもなく藤浪本人の甘さが最も大きい。とはいえ、そういう彼の人間性を作り上げてしまったのも、阪神球団とチームの育成システムが脆弱で無計画であったところに起因する。どっちもどっちで、こうなるともう今さら藤浪の再生に活路は見出せない。うまい移籍話が成立するのであれば、藤浪のためにも、そして阪神のためにも前向きに進めたほうがいいに決まっている。優柔不断でだらだらとタテジマのユニホームを着続けさせているほうが時間の無駄であり、お互いにとって良くない」と持論を展開していた。

トンネルから抜け出せるか否かのターニングポイント

 グダグダのまま飼い殺し状態で阪神の一員として投げさせていてもメリットはない。まだ〝商品価値〟が残されているうちに欲しがる球団があるならば阪神は「虎の藤浪」とは決別し、新たな道筋を作って復活のチャンスを与えられるように送り出すべきである。今年で26歳の年齢面から判断すると藤浪にとっては、くすぶり続けるトンネルから抜け出せるか否かのちょうどターニングポイントとなるだろう。

 個人的には5日の巨人戦で背信投球の内容となった藤浪が甲子園の一塁側ベンチで人目もはばからず涙する姿を目にした時、虎の一員としての限界を垣間見た気がしている。そしてこれは余談となるかもしれないが、現役時代に藤浪とバッテリーを組んで抜群の相性を誇り、その卓越したリードによって背番号19を一時エースと呼ばれるまでに成長させた鶴岡一成氏(現横浜DeNAベイスターズ二軍バッテリーコーチ)のような存在はいないのだろうか。我々の想像以上にセンシティブな迷える右腕・藤浪が再生を果たすには他球団移籍に加え、現況で難しいことは重々承知ながらも鶴岡氏本人と再びタッグを組む機会を得られれば、最高の環境が整うような気がしてならない。

 コロナ禍の影響で今季のトレード期限は9月30日に延長されている。しかしながら、さすがにここまでの電撃移籍はまずまとまらないと思われる。動きがあるとすれば今オフということになりそうだが、藤浪の将来と球団のさらなる飛躍を両立させるためにも阪神の勇気ある〝英断〟を期待したい。

  
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