セ球団の中で最も多く首位叩きのチャンスがある
「今季のラミレス監督はイチかバチかのバクチ采配が多いような気がしてならない。投打に主力を欠いていることもあって、従来のセオリーから離れた考えとデータを結び付けた奇策を用いて何とか相手の虚を突こうと必死になっているようだ。ただ、リスクが余りにも大き過ぎるところは否定できない。これまでの失敗例を見ても分かるように負ければ、方々からぶっ叩かれてダメージが広がってしまう。
本来ならば、ラミレス監督に多少モノを言えるストッパー役の存在も必要なのだが、その役割を誰も十分には果たせておらず、指揮官自身も耳を傾ける姿勢が見えにくい点は明らかにいい傾向ではない。近年はコーチ陣の意見も取り入れるようになっていたはずだが、ふたを開けてみれば今季から再び不可解な采配が露になってきたのは首脳陣間の歯車が噛み合っていない証拠でもある。
付け加えて個人的に気になるのは『干されている』ともっぱらの昨季の正捕手・伊藤光の現在地だ。彼はスタメンマスクを被った7月18日の巨人戦(横浜)で試合中に交代となり、翌19日に二軍降格となったことで実はこれが『懲罰ではないのか』と噂になっていてチーム内に恐怖感を植え付ける一因にもなっている。もちろん真相は定かではない。ただし、その伊藤光は二軍で左ふくらはぎを肉離れしたものの、すでにイースタンリーグにおいて実戦復帰している。〝捕手の偏重起用〟と陰口を叩かれている現状を否定し、悪い流れを変える意味でもラミレス監督は起爆剤として伊藤光を早急に一軍へ戻すべきだと思う」
今季のセ・リーグはコロナ禍の特例措置によってCSがない。そのため、リーグ優勝を果たせない限りはたとえAクラス入りしようともレギュラーシーズンだけで戦いは終わりを告げる。このままV逸となれば、ラミレス監督の来季続投は現状で極めて厳しく、後任は「番長」こと現二軍監督・三浦大輔氏の内部昇格が濃厚とささやかれている。
巨人との直接対決は残り9試合。セ球団の中で最も多く首位叩きのチャンスがあることをラミレス監督はプラスととらえ、何らかの奇策を駆使して形勢逆転に持ち込むシナリオを胸の内で描いているのか。しかし、その現実性は限りなく乏しくなりつつある。
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