2024年2月25日(日)

Washington Files

2020年9月21日

「今後は、自分の私財の限りを尽くしてトランプを敗退させる」

 しかも、撤退決断の際、「今後は、自分の私財の限りを尽くしてトランプを敗退させる」と報道陣に語り、資金面でバイデン氏をバックアップしていくことを公言していた。

 このため、ニューヨーク・タイムズなど米大手各紙の担当記者たちは、ブルームグバーグ氏がバイデン氏に対するフロリダ州向け第1弾資金援助発表後も、11月3日投票日直前までに他州においてもさらに大規模な支援を実施することは確実とみている。

 これは、トランプ陣営にとっては今後の戦いを進める上で、資金面で深刻な脅威となる。

 ちなみに、トランプ陣営が去る8月1カ月間に集めた選挙資金は2億1000万ドルだったのに対し、バイデン陣営は同月初めてこれを上回る3億6400ドルという記録的資金を集めた上、米メディアの一部では「かつて潤沢といわれてきたトランプ陣営の資金不足露呈」との観測まで流れた。そこへ今度はブルームバーグ氏が、さらなる資金をバイデン陣営につぎ込み始めることになれば、トランプ陣営は資金面でかなり苦しい局面に立たされることは避けられない。

 米国大統領選においては、候補者が広大な国土に広がる50州の多くの市町村を個人的に遊説して回るにはロジスティックス、時間の両面でおのずと制約があるため、古くからメディア露出による政見アピールが大きな役割を果たしてきた。

 20世紀に入ってからはこれがさらにエスカレート、演説集会や各種イベント会場訪問などの選挙関連ニュース報道のみにとどまらず、独自のラジオ、TV広告を通じた激しい政敵攻撃、自己宣伝の量と頻度が勝敗を分けるほど重視されるに至った。

 近年さらにこれにネット広告も無視できなくなり、そのための出費も莫大な規模に膨れ上がりつつある。当然、候補間での資金集め競争もし烈を極めることになる。

 参考までに、2016年年大統領選の場合を例にとると、トランプ陣営は選挙期間全体を通じ、各支援団体、小口献金含め6億4680万ドルの資金を集めたのに対し、ヒラリー・クリントン候補はこれを上回る11億9100万ドルだった。しかし、トランプ氏の場合は、遊説のための各州移動、宿泊費などのため、自分のポケットマネー6600万ドルを投じている。

 これに対し、今回の場合、両陣営とも、最終的にこれをはるかに上回る勢いで資金集め争いを演じ、すでに各州で大規模出費をしている実態が明らかになってきた。

 ニューヨーク・タイムズ紙(9月7日付)によると、トランプ陣営は2017年1月、同政権スタートと同時に再選に向けた資金集めを開始、今回の場合も現職の強みを生かし、当初からバイデン候補に比べはるかに有利な選挙戦を展開してきた。そして、8月末時点での支出総額はすでに10億ドルを突破した。

 しかし、一方の民主党陣営は今年半ばからバイデン氏の党指名候補が確定、さらに党大会で黒人女性で人気度の高いカマラ・ハリス上院議員が副大統領候補に指名されてからは、資金集めにも急に弾みがつき始めた。8月末時点での出費総額は明らかにされていないが、その後の全米各地からの小口献金も含めた資金集めもトランプ陣営を上回る勢いを保っているため、最終段階に向けての資金的余裕を十分残しているとされる。

 このため、トランプ陣営は危機感を強めており、今後投票日に向けた最後の6週間に集中的に接戦州での各種選挙広告作戦を展開するため、果たしてどれだけの資金確保ができるかが試金石となりつつある。

 かたや民主党陣営は、選挙戦後半に入りすでに優位に立った資金集めに加え、背後に“アンチ・トランプ”の筋金入りのブルームバーグ資金も当てにできるため、今後11月3日投票日直前にかけ接戦州向けに空前規模の集中豪雨的コマーシャル作戦が展開されることは確実だ。

 そしてその結果、もしバイデン候補が勝利すれば、同時にトランプ大統領はブルームバーグ氏との因縁の「歴史的対決」にも敗北したとの評価も下されることになろう。

  
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