2024年11月22日(金)

WEDGE REPORT

2020年10月1日

出発72時間前以内の陰性結果で自主検疫免除

 一方、観光客受け入れに関しても新たな展開が見えてきた。ハワイ州政府では現在も、州外から帰還する住民を含むすべての訪問者に対して14日間の自主検疫(隔離)を義務付けている。ハワイ州では元々、8月1日より出発前72時間以内に受けた感染検査で陰性だった場合は自主検疫を免除するプログラムを開始するはずだったが、7月中旬以降の感染者増加により、開始時期が9月1日、そしてまた10月1日に延期されていたのである。

 地元テレビ局ハワイ・ニュース・ナウ(電子版)の報道によると、イゲ州知事はこのプログラム開始期日を15日間延期して10月15日に延期。現時点ではこの期日がまた延期される兆候は見られていない。ハワイ州政府は、州内の空港で到着者の感染検査を行う予定は今のところないようだが、アメリカの航空会社数社が利用客向けの感染検査実施に乗り出すことを公表している。

 USAトゥデイの報道によると、ユナイテッド航空では10月15日より、サンフランシスコ発ホノルル行きの航空機に限り、同機搭乗者に対し15分後に結果が判明するラピッドテスト(迅速抗体検査)を受けるオプションを用意するという。同社ではサンフランシスコーホノルル線での試みが成功した場合、このオプションを国内の他都市にも拡大すると述べている。またホノルル・スターアドバタイザー(電子版)の報道によると、ハワイアン航空も利用客向けにロサンゼルスとサンフランシスコでドライブスルーのテストを提供すると公表。今後数カ月間で、同社の路線を持つ国内他都市でも同様のサービス提供を開始する予定だという。

 一方、日本からハワイへの便も10月から約半年ぶりに再開される。ニューズウィーク日本版は9月8日、全日本空輸(ANA)が3月下旬から停止していた成田~ホノルル便を再開すると報道。同社ではまず、10月5日と19日にフライト運航を予定している。日本からハワイを訪問する場合でも、即日結果が出るラピッドテスト、またはPCR検査を提供しているクリニックを探し、出発72時間以内の陰性証明書をハワイ到着後に提出することで自主検疫が免除されることになる。しかし、日本でテストを受けない場合はこれまで通り14日間の自主検疫が義務付けられ、違反すると逮捕されて罰金を科されることにもなりかねないので注意が必要だ。

 日本の航空会社では現時点はアメリカの航空会社のようなラピッドテストおよびドライブスルーテストの実施を公表していないが、ハワイと日本間の路線を持つアメリカの航空会社が、今後日本でも感染検査のオプションを提供する可能性も無きにしも非ずだろう。

 厳しいロックダウンで観光再開が延期され、同時に州内のビジネスも休業に追い込まれたため、現在のハワイ経済はもちろん決して良い状態とは言えない。しかし同時に、明確な経済再開計画が打ち出されたこと、そして観光客受け入れが再開されることで、暗く長いトンネルの先に光が見え始めている。もちろん、新型コロナウイルス問題自体がなくなったわけではないが、ハワイでは安全なワクチンと治療法が開発されるときまで感染を最小限に抑えながらウイルスと共存していく道が見えてきたと言えそうだ。

  
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