イバラの道が待ち受けている
そんな中、同じスイマーのライバルであり盟友の萩野が窮地に立たされている瀬戸に「一緒に泳ぐのを楽しみにしている」とエールを送ったことで多少は逆風のレベルが下がっていくかもしれない。そういう意味でも瀬戸本人、そして彼をバックアップする関係者たちは温情をかけてくれた萩野にとにかく頭が上がらないはずだ。
とはいえ、それでも瀬戸は〝無罪放免〟となったわけではない。今後、イバラの道が待ち受けていることに変わりはないだろう。年内のレース出場が不可能となったことで本格復帰に向けた練習に集中できると分析する声もあるが、肝心のメンタル面が伴っていなければ何ら意味はない。世間から激しいバッシングにさらされ、これまでのようなモチベーションを果たして保ち続けられるのか。
ANAからは同社所属アスリートとして結んでいた契約を先月30日付で解除されるなど、クライアントにソッポを向かれている。周辺では「来年から謹慎解除となってもすぐに新しいスポンサーが瀬戸選手につくとは考えにくい。どんな企業でも、やはり『不倫』のイメージは致命的で毛嫌いされる。その払しょくは容易ではないだろう」との見解が大勢を占める。
複数の海外メディアは瀬戸が日本国内で不倫問題によって激しいバッシングにさらされ、日本水連から処分も受けたことに自社報道で「驚き」を示しているそうだ。しかし、そうは思わない。日本の社会には我が国のルールと常識がある。今回瀬戸が引き起こした問題は、国を代表する選手として「日本代表選手行動規範」にも示されている「違法行為または日本代表選手の名誉と信頼を損なうようなスポーツマンシップに反する発言や行動をしてはならない」との文言に抵触しており、弁解の余地はない。明らかに〝身から出た錆〟だ。
「私にとってのお詫びはこれからも水泳で努力していくこと」と所属事務所を通じてコメントを発表した瀬戸はマイナスの立ち位置から再起を図る。処分から解禁となる来年、東京五輪前の復帰戦に果たして本当に臨めるのか。「罵声」を「歓声」に変えられる保証は今のところない。
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