トクホ審議で、情報が流出
業界の不安にさらに拍車をかける事態が最近起きました。消費者委員会新開発食品調査部会は3月に引き続き7月にも会合を開き、トクホ申請のあった製品について審議をしました。この会合も、「個別品目の審査内容が許可申請を行っている事業者の権利または利益を侵害するおそれがあるため」という理由で非公開。申請企業も会合への出席は許されておらず、審議内容の詳細な説明も未だ、消費者委員会からはないそうです。
ところが、先月、業界情報を伝えるニュースサイトに、詳細な議論の内容が流出し掲載されたのです。非公開で行われるこの調査部会の議事録は通常、後日に消費者委員会ウェブサイトで公表されますが、8月7日現在、まだ出ていません。消費者委員会事務局か、あるいは、審議をした委員のだれかが守秘義務に違反し、先行して情報を流出させた可能性があります。
しかも、ニュースサイトには審議対象の商品名が出ています。じつは、健康食品の業界団体である公益財団法人「日本健康・栄養食品協会」は昨年10月、消費者庁や消費者委員会等に「トクホの審査過程で申請者や商品名、許可を受けようとする表示の内容等を公表しないでほしい」と陳情書を出しました。これらは、セールスにかかわる大きな要素なので、審議開始時、つまり発売の3年ほども前に公表されてしまうのは、企業の知的財産にもかかわる、というのが企業側の言い分です。
この陳情の結果、一部の情報は伏せられるようになり、消費者委員会新開発食品調査部会でも、今年3月の議事録から商品名が伏せられるようになっています。ところが、ニュースサイトには商品名までばっちり。槍玉にあがったのはやっぱり、サントリーの製品。それに今回は、既に許可されているキリンメッツコーラにも議論が及んだ、とニュースサイトは書いています。
情報がだだ漏れ、です。そして、話題になって目立つ企業や製品だけがことさらに取り上げられている気配が、やっぱり濃厚なのです。
トクホの広告はたしかに、少々やり過ぎの面がある、と私にも感じられます。しかし、その広告宣伝は、どの企業も許可されている表現ぎりぎりのところで勝負をかけ、キャラクターやキャッチコピーでなんとかインパクトのある印象を消費者に与えようと競っています。その是非を論じるのは「表現の自由」の問題も絡まり、簡単なことではありません。
「日本健康・栄養食品協会」も適正広告自主基準を作り、協会員に守るように呼びかけていますが、なにせ食品企業も、なんとかして印象づけて売りたいのですから、今後も広告表現の問題は続くと思われます。
問題は、いわゆる健康食品の有害性
大企業が槍玉に挙げられるので、トクホの広告宣伝問題は面白く、人々の関心を集めます。マスメディアにしてみれば、「サントリーが国からお叱りを受けた」なんて面白い話でしょう。ですから、大きな新聞記事となり、テレビ局もニュースにします。