ザ・移動革命

2020年10月23日

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伊藤慎介 (いとう・しんすけ)

株式会社rimOnO 代表取締役社長

1999年に旧通商産業省(経済産業省)に入省し、自動車、IT、エレクトロニクス、航空機などの分野で複数の国家プロジェクトに携わる。2014年に退官し、同年9月に超小型電気自動車のベンチャー企業、株式会社rimOnO(リモノ)を設立。2016年5月に布製ボディの超小型電気自動車”rimOnO Prototype 01”を発表。現在は、CASEやMaaSなどモビリティ分野のイノベーション活動に従事。KPMGモビリティ研究所アドバイザー、東京電力ホールディングス株式会EV戦略特任顧問などを兼務。

WaymoもCruiseもさらに先を行く

 Cruiseの完全無人での公道走行許可から遡ること8日の10月8日、グーグル系Waymoはアリゾナ州フェニックスで提供しているロボタクシーサービスWaymo Oneを一般客に開放すると公表した。既に完全無人運転、有料、実サービスまでは実現していたが、限定していたサービス利用者を一般に開放するフェーズに入ったということだ。したがって、この先は①どこまでエリアを広げられるか、②コストをライドシェアレベルまで下げられるかの挑戦に入っていく。

 一方、Cruiseは今年1月にロボタクシー専用の車両としてCruise Originを発表している(写真参照)。ドライバー席がなく、乗客が向かい合わせで座る形式になっているロボタクシー専用電気自動車だ。しかも単なるプロトタイプではなく、本格量産を想定している。10月16日に公開されたCTOの動画の中では、安全なロボタクシーを実現するためにはAIなどのソフトウェアだけでなく、ハードウェアの開発も欠かせないと述べている。GM傘下であることからハード・ソフト両面で高い開発力があることが同社の強みになっているのだろう。

ロボタクシー専用車として開発されたCruise Origin(出典:Cruise社サイト)

 では、日本の状況はどうか。

 菅政権が誕生し、河野太郎大臣を中心に規制改革を断行していくという。既に自動運転を全国レベルで認めていくことも視野に入っているとの報道もある。しかし、ロボタクシーの実現に向けた環境はアメリカや中国の方が圧倒的に進んでいる。中国では雄安新区という特区がイノベーション拠点になっているし、アメリカではカリフォルニア州やアリゾナ州などが他州よりも先行して環境整備を行うことでイノベーションの果実を取り込んでいる。

 特定エリアだけなく全国でやれるようにすべきという河野大臣の主張は一般論としては賛同するが、ロボタクシーのような分野においては全国統一の制度整備を進めるよりも、一国二制度に近い形で特定地域において成功事例を作り上げることも考えてほしい。

 日本勢が勝つために残された時間は少なくなっている。完璧を求めるよりも早く進めることが大切だ。新政権のイニシアティブに大いに期待したい。

  
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