ザ・移動革命

2020年10月23日

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伊藤慎介 (いとう・しんすけ)

株式会社rimOnO 代表取締役社長

1999年に旧通商産業省(経済産業省)に入省し、自動車、IT、エレクトロニクス、航空機などの分野で複数の国家プロジェクトに携わる。2014年に退官し、同年9月に超小型電気自動車のベンチャー企業、株式会社rimOnO(リモノ)を設立。2016年5月に布製ボディの超小型電気自動車”rimOnO Prototype 01”を発表。現在は、CASEやMaaSなどモビリティ分野のイノベーション活動に従事。KPMGモビリティ研究所アドバイザー、東京電力ホールディングス株式会EV戦略特任顧問などを兼務。

 10月16日、GM系の自動運転スタートアップCruiseはアシストドライバーなしで自動運転車を走らせる許可をカリフォルニア州運輸局から得たことを公表した。これにより完全無人の自動運転タクシーである「ロボタクシー」の実用化に向けて同社は大きな一歩を踏み出したことになる。

サンフランシスコ市内での完全無人運転の許可を得たGM系Cruise(出典:Cruise社サイト)

 しかしロボタクシーについては既にグーグル系Waymoが昨年10月に許可を得ており、アリゾナ州フェニックスにおいてWaymo Oneという実サービスを導入している。それではCruiseの何が画期的なのか?

 まずは下記のリンクにあるYouTube動画を見ていただきたい。

 この動画はCruiseが実験走行を続けている完全自動運転車から撮影されたカメラ映像を編集し、2019年1月25日に公開したものだ。2.5倍速で再生されているのでその点は差し引いてみる必要があるが、極めて複雑な交通事情を抱えるサンフランシスコ市内を走っていく様子には冷や冷やさせられる。自分がドライバーであれば途中のどこかで確実に事故を起こしているだろう。

 サンフランシスコに行かれたことがある方ならお分かりだと思うが、アップ・ダウンの坂道が多く、ケーブルカー、路面電車、トロリーバスなど複数の公共交通と道路空間を共有するサンフランシスコ市内は運転に慣れていないドライバーにとって試練のような場所である。最近では自転車道の整備が進み、自転車や電動キックボードなども走行することから、複雑に入り組んだ混合交通のメッカのようになりつつある。

 これだけの複雑な交通事情を持つサンフランシスコ市内において完全無人での自動走行の許可を得たからこそCruiseは画期的なのだ。同社のCEOはプレスリリースにおいて「サンフランシスコ市内のような複雑な交通環境で自動走行を実現することは比較的シンプルな郊外などと比較して30~40倍も難易度が高い」と述べている。

 では、なぜ日本勢がCruiseのような会社に勝つことができないのか?

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