問われるソーシャルメディアの責任
しかし、事件のアフターショックのように次々に大統領批判と行動を起こす企業が増えているが、事件そのものの検証がなされるのはこれからだ。一部からは「ソーシャルメディアには責任はないのか」という声も上がっている。
その急先鋒はテスラ社のイーロン・マスク氏で、「フェイスブックは元々大学で女子の品定めをするために作られたメディアだ。私は以前から信用していない」と言及。同氏はフェイスブックアカウントを自ら削除し、「フェイスブックを利用しないよう」呼びかけたこともある。
最も過激なのは投資家のクリス・サッカ氏で、ツイッターに投資したこともある同氏はツイッターとフェイスブックのCEOを名指しで批判、「あなた方の手は血で汚れた」と発言した。意味するところは、トランプ政権下でソーシャルメディアをプラットホームとした様々な軋轢が生じてきたのに、このような事態になるまで手をこまねいていたためだ。
確かにソーシャルメディアには様々な弊害もある。迷惑ユーチューバーなどは、このようなプラットホームがなければそもそも登場しなかっただろう。今回の乱入もソーシャルメディアを通して呼びかけが行われていたが、その危険性についてツイッターやフェイスブックは警告を発してたのだろうか。
ひとたび事件が起きれば手のひらを返したようにトランプ氏を追放し、正義は我らにあり、とでも言いたげなツイッターやフェイスブックの態度への疑問も噴出している。これを機にソーシャルメディアに対する規制が一気に進む可能性もある。
しかしながら、結局民主党に利するだけの結果のように終わった今回の乱入事件、その経緯などへの疑問が解明されることはあるのだろうか。選挙後にトランプ支持者の暴動が起きる、と予想されており、それが不発に終わっていたことから警備の気が緩んだ、との見方もあるが、大国米国の国会議事堂の警備がこれほど手薄である、というのは驚きをもって受け止められた。そのため陰謀論まで出始めているが、大統領交代の門出がこのような形では、新政権発足も後味の悪いものとなるだろう。
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