2024年4月24日(水)

使えない上司・使えない部下

2021年1月29日

この時、はじめて「男女差別」を感じました

西條恵子さん

 業界や職種を選ぶことをしなければ、再就職はある程度はスムーズだったのかもしれません。私は、人材業界で人と企業を繋ぐ支援がしたいという強い思いがありました。銀行に勤務していた経験を活かし、特に金融業界(プライベートエクイティファンド、銀行、M&A専門会社など)、コンサルティング業界を中心に転職のサポートをしていきたいと考えていたのです。業界や職種を選ぼうとすれば、10年ものブランクがある専業主婦には大きな壁が立ちはだかります。

 奈良女子大学文学部社会学科に在学中の頃から、社会人になったら男女の差なく、働いていきたいと思っていました。「就職氷河期」と言われていた頃に就活をしたのですが、この時に初めて男女差別があることを実感しました。結果として、特定総合職という職種で都市銀行(現在はメガバンク)に入行しました。当時、入行同期となる総合職は、約300人。このうちで女性は10人もいなかったかもしれません。特定総合職は、約100人、うち女性は30人ほどだったと記憶しています。

 当初は総合職を希望していましたが、関西では女性の場合は、京都大、大阪大、神戸大の学生しか採用しない、とも聞きました。入学難易度で言えば、私が在籍していた大学学部と同レベルの大学学部を卒業する男性は、その銀行を総合職で受験していました。ここでも男女の差を知り、憤りを覚えました。それで特定総合職でエントリーし、内定をいただき、入行したのです。合併後に総合職となっています。

 リカレント教育の受講と並行して、2017年11月頃から再就職活動をしました。求人サイトにプロフィールをアップすると、私の経験を活かせると思った企業やこちらが興味を示している業界などを中心に連絡がありました。実際に採用試験を受けるために応募をしたのは36社。書類選考を通過したのは、約10社。内定もしくは内定になりそうだった企業は、大手ハウスメーカーやベンチャー企業など5~6社。自分の方から選考の途中で断った場合もあります。

 不採用になった理由は、今は私なりにわかっているつもりです。先方の企業は、10年のブランクのある女性を想定していなかったのだと思います。そして、先方の求めるスキルを身につけていませんでした。例えば、メガバンクに準じる大手銀行の資産運用コンサルタントに応募した際、不採用になりました。その銀行が、求めている人材の年齢は30歳前後までだったのだろうと思います。そして、メガバンクなどで資産運用コンサルタントをしていて、上位の成績を収めていた人を求めていたはずです。

 当時、私はこれらの条件を1つも満たしていませんでした。はじめは、恥ずかしながら、転職市場での自分の価値をもう少し上に見ていたのかもしれません。実際、応募していくうちに現実を知り、本当に厳しいものだと思い知りました。もがき苦しんできた結果、第一志望だった人材業界でキャリアを再スタートでき、とてもよかったと思っています。やりたいと思える仕事ができています

 「使える上司」? 私の周囲では、そのような言葉を聞いたことがほとんどありません。「使える、使えない」といった言葉には人を見下したニュアンスがあるように感じます。仮に職場で同僚が使っているとしたら、いい印象を持たないと思います。

 振り返ってみると、「いい人だった」と思える上司はたくさんいました。特に印象に残っている方は、銀行に勤務していた28歳の頃に同じ職場にいた30代半ばの先輩です。性格は、穏やかな方でした。仕事は、とてもできます。周囲のことや部署、職場、銀行、顧客のことまで広い視野で考えているように感じました。周囲からの信頼も厚く、人事評価もとても高い方でした。こういう方のそばで仕事ができてよかった、と思います。


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