使えない上司・使えない部下

2021年1月8日

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 今回は、元プロボクシング第31代日本ジュニア・ライト級(現スーパーフェザー級)チャンピオンで現在、フィットネスインストラクターの鈴木敏和さん(52歳)に取材を試みた。

(Nastco/gettyimages)

 鈴木さんは15歳から空手を始め、日本航空高校(山梨県)を卒業後、全国少年少女実戦空手道大会高3の部で優勝。生まれ育った神戸に戻り、神戸拳闘会でボクシングを始める。1988年に19歳でデビュー、ジュニア・ライト級(現スーパーフェザー級)で全日本新人王に。1992年に2度、同級王座に挑戦するが失敗し、1994年1月にチャンピオンになる。2度防衛したが、1995年1月の阪神淡路大震災で神戸拳闘会のジムが閉鎖し、同年6月の防衛戦を経て引退。戦績は、24戦18勝11KO 5敗1分。

 1998年、都内のエアロビクスインストラクター養成所に入学し、卒業後フィットネスクラブでインストラクターデビュー。1999年にエアロビクスに本格的なボクシングを取り入れた全身運動のエクササイズのインストラクターとなる。元日本チャンピンのプロボクサーが自ら考案した完全オリジナルの内容が話題となり、受講者がしだいに増える。

 現在に至るまで23年間、都内や神奈川を中心にフリー(個人事業主)のインストラクターとして活躍。東急スポーツオアシス(新宿、青山、恵比寿、十条、武蔵小杉)やゴールドジム(大塚、大井町)で教える。その他にパーソナルボクシング指導、ボクシング技術指導のインストラクター、子ども発育運動クラスの幼児クラス、小学生クラスのコーチも務める。1年ほほ毎日、教える日々だ。

 鈴木さんにとって、「使えない上司・使えない部下」とは…。

教えている様子を第3者のように客観的に捉えること

鈴木敏和さん

 1998年当時はベルトを巻いた元プロボクサーが、エアロビクスにボクシングを取り入れたエクササイズをじかに教える機会はほとんどなかったのだろうと思います。たぶん、日本で初めてだったんじゃないでしょうか。現役を引退した他の選手ができないようなことをしてやろう、と思っていました。

 都内に友人はいないし、ツテもなかったのですが、思いきって神戸から転居しました。東京はチャンスがある、いろいろな人と知り合えると思ったのです。手元にお金があまりなかったから、しばらくは冷暖房がなく、風呂なしのアパートで生活をしていました。風呂代が惜しいから、タオルをお湯で濡らし、体を洗っていた時期もありました。都内の道は慣れないから、ジョギングで走ると、帰りは迷い、すぐに帰れない時もありました(苦笑)。

 あの頃、インストクターとして生きていく勝算はなかったのですが、必ずできるといった思いが強かった。できるかどうかではなく、やるしかなかった。あんなに苦しい思いをしてチャンピオンになったんだから、必ずできると信じていました。

 現役の時にエアロビクスと出会ったことで、ボクシングが大きく変わりました。日本タイトルマッチに2度挑戦しています。特に2回目の試合後には体が相当に故障していました。こぶしを痛めていたり、体調を崩し、入院をしていたのです。

 退院後は、リハビリを兼ねてフィットネスクラブに通い、エアロビクスを初めてしました。全身の体を器用に動かすことを学んだのです。これはボクシングに生かすことができる、と思いました。例えば、縄跳びをする時にエアロビクスの動きを取り入れてみたのです。体の動きが器用になって、いろんなパンチが打てるようになりました。ボクシングの幅が広がったと感じるようになった。それ以降、4試合連続 KO 勝ちし、日本チャンピオンになることができたのです。

 2021年で、東京に来てインストラクターをして23年目。お蔭様で週7日フル稼働の状態です。早い時は10時半にクラスが始まり、遅い時は終わるのが夜の10時半ぐらい。受講していただく方は初めの数回は、インストラクターが元日本チャンピオンの元プロボクサーの物珍しさもあって来てくださるのかもしれません。自分がきちんとした知識や理論、技術を心得ていないと、その後も継続してクラスを受講していただけないと思います。

 「使えるインストラクター」?いろいろなクラスでたくさんの方に教えることができていますから、多少はそのように思っていただいているのかもしれませんね。15~20年程継続して受講する方もおられますから、大変にありがたいです。

 気をつけているのは、受講する方それぞれをよく観察し、「この方はこういう特徴がある。こう教えるといいはず」と感じ取れるようになること。必ず、その方の持ち味や良さがあります。そして、教えている様子を第3者のように客観的に捉えること。自分の場合は、気を使い、丁寧なところもあるのでしょうが、少し抜けている部分もあるのかもしれません…(苦笑)。自分に陶酔するタイプになったり、自分だけ楽しんでいるインストラクターにはなりたくないのです。

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