Wedge REPORT

2021年2月15日

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出井康博 (いでい・やすひろ)

ジャーナリスト

1965年、岡山県に生まれる。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒業。英字紙「ニッケイ・ウイークリー」記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)客員研究員を経て、フリー。著書には、『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)、『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社+α文庫)などがある。

日本とベトナム、対照的な水際対策

 ベトナムでは、日本ほどにコロナの感染は広まってはいない。緊急事態宣言まで出された日本は、「危ない国」と映って当然だ。感染リスクが高い在日ベトナム人には、できれば帰国して欲しくないのであろう。

 コロナへの日本とベトナムの水際対策はあまりに対照的だ。日本は入国制限緩和措置のもと、ベトナム人などに対しては、1月7日の緊急事態宣言発令前までPCR検査すら義務づけていなかった。母国を出発する前も、そして到着した日本の空港でも、検査すら受けることなく入国できていた。そして2週間の隔離にしろ、入国者に自主性に委ねられるだけだった。

 日本ほどではないとはいえ、ベトナムでも感染者は出続けている。感染力が強いとされる変異種も12月時点で確認されていた。にもかかわらず、ベトナム人たちはPCR検査なしの入国が可能だった。実習生ら出稼ぎ労働者の確保を優先してのことである。

 一方、ベトナムは入国者全員に2週間の厳格な隔離を課し、その間に受ける2度のPCR検査で完全に陰性が証明されるまで外出は禁じている。変異種が問題となった12月以降は、自国民を含め入国を実質止めたほどだ。

 ただし、ベトナムが在日ベトナム人の帰国を拒むのには、「コロナ」以外にも理由があるように思える。そもそも自国民の感染を防ぎたいなら、11月以降だけで5万人近いベトナム人を日本へ送り込むのは解せない。ベトナムが「一方通行」で日本へ出稼ぎ労働者を送り続け、年明けには実習生の入国ラッシュまで起きたのは、国の経済事情に加え、政府関係者の利権も影響してのことなのだ。

  
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