中東を読み解く

2021年2月22日

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コロナ対策で側面支援の妥協案も浮上

 バイデン政権は「対イラン国連安保理制裁が“スナップバック”という仕組みにより、全面復活した」という前政権の一方的な主張を撤回する方針を明らかにし、さらにニューヨークのイラン国連代表部員に科してきた米国内の移動制限を緩和することもイラン側に伝えた。これらの措置はイランとの緊張激化を回避したいバイデン政権の意向を込めたものだ。

 イラン側もこうした米国のシグナルに対し、経済の復興を最優先にするロウハニ大統領やザリフ外相が軟化姿勢を示唆しており、核合意当事者による多国間協議の場に米国が出席する形で対話を開始する可能性がある。欧州連合(EU)が現在、この方式での会合の開催を仲介しており、最初は「ゲスト」か「オブザーバー」資格で米国が参加することが検討されている。

 米メディアなどによると、イラン側は「米国による制裁の解除」と「イランによる核合意違反の是正」を同時並行的かつ段階的に進めるやり方を検討している。バイデン政権は国内的に制裁解除に反対する強い圧力を受けており、この案に乗ることには消極的だ。そこで浮上しているのが制裁の解除に代わってイランのコロナ対策への側面支援だ。

 イランは制裁で収入源の石油輸出が激減したため経済が悪化、インフレ、失業、通貨リアルの下落など苦境にあえいでいるのが現状だ。これに新型コロナウイルスのまん延が追い打ちを掛け、ロウハニ政権は国際通貨基金(IMF)に50憶ドルの融資を申し込んでいるとされる。バイデン政権は制裁を直ちに解除しない一方で、この融資に反対せず、実質的にイランを支援するという妥協案を検討しているようだ。

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